おりひめに宿る古代の心、七夕のおはなし
今を去ること1万2千年前には、おりひめの星・ベガは今の北極星の位置にありました。つまり、天にあって不動の星だったのです。そのため、宇宙の中心的存在と考えられたようです。ここから、ベガ信仰が生まれました。ベガが北極星の位置にあったのは、中国では夏や殷の時代のことだそうです。古代中国では、ベガは女性神として登場します。天にあって星々の回転運動をつくり出している絶対的存在として、あるいは、季節の移り変わりや生命の誕生をもたらすものとして。ベガが女性神であるのも、新しい生命を生み出すスピリットだと考えられたからでしょう。天体の歳差運動によって、次第にベガは北極星にその位置を譲りますが生命の誕生を司る女性神としての信仰は残り、西王母と呼ばれるようになったそうです。七夕伝承・原始七夕伝承以下引用です。「西王母は頭に「玉勝」を戴いています。西王母は、元来、ただ一人、大地の中心である宇宙山(世界樹)の頂点にあって、絶対的な権力で持って宇宙全体を秩序づけていた。その秩序づけが、彼女の機を織るという行動に象徴されていた。西王母は、いわば世界の秩序を織り出していたのである。さればこそ織機の部分品である゛勝(ショウ)゛がその頭上に載っているのであった。織機の部品の中でも、特に゛勝゛が選ばれたのは、一人で再生を繰り返す神のありかた(すなわち、円環的な時間の中にある存在)と織機の軸の回転とを重ね合わせて、その軸の回転を制御する゛勝゛を象徴的に使用したものと推測される。」面白い記事が他にも載っていました。「鳥トーテムが現在でも中国少数民族で西王母信仰の残っているイ(倭)族にみられます。このトーテム信仰の1つである鳥トーテムはシャーマニズムとセットで信仰されることが多いようです。この鳥トーテムは「鳥竿(ソッテ)」とも呼ばれ、竿(テ)には柱・竹・竿・棒などが使われました。」「西王母は1月1日と7月7日の年に2度、この希有鳥に乗って東王父に逢いに行きます。現在では正月と七夕は別の行事でありますが、この頃までは正月と七夕はセットの行事であったようです。」この西王母の誕生日が3月3日(桃の節句)だそうです。西王母(セイオウボ)と長寿の桃天文民俗学「西王母」関連のページ