最近読んだ本48
永遠。村山由佳 講談社文庫最新刊のコーナーに村山由佳さんの本が置いてあって、見たことがない本だったので即買いした。この話は映画「卒業」のコラボレーションとして生まれた作品とのこと。映画のサイド・ストーリーらしい。村山さんのどの作品にも見られるような根底にあるせつなさはあるのだが、他の作品とはタイプが違う感じがした。他の作品を「動」とするならこの作品は「静」みたいな。話としては、葉月さんは亡くなる前、娘の弥生と幼馴染の僕にかつて別れた恋人のことを話してくれた。それから、弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聞きに短大に通った。一度も「お父さん」と告げられないまま、卒業式の日を迎える。僕は、そんな弥生の帰りを待つ・・。というところから始まっていく。自分の中の引っかかり・「・・ああ、このひとは、いろんなことに気づいてないんじゃない。 何も言わないから鈍いみたいに見えるけど、本当は逆なんだ。 思ったことをなかなか口にしてくれないのは、言葉にするとこぼれてしまう ものがたくさんあるってことを、よく知っているからなんだな、ってね」・「・・その恋がほんものかどうか、見分ける方法がひとつあるよ」 ・・・ 「・・『この男は、あたしが幸せにしてやるんだ』って。そう思えるかどうかよ」・「・・誰かに何か、大事なことを伝えるときはね。心の底からよーく考えてからに しなさい。それは、私があのひとから教わったこと。言葉にしたとたんに 終わっちゃうことって、世の中にはいっぱいあるから」・一度誰かとの間に芽生えたつながりは、ずーっと消えずに続いていく