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柳田氏が辞任させられる原因となった発言は,国会では法的制約のため立ち入った議論ができないことを指摘したもので,それを柳田氏は皮肉を込めて冗談で言ったのだろう,と私は解釈する.
政治の話題は難しい.冗談のつもりが,必ずしも意図通りに伝わらないこともある.特に不特定多数を相手にする場合,皮肉を込めた反語的表現は,ほとんど禁句と言ってよい.反語を理解してもらえず言葉通りに受け取られたり,それを逆宣伝に利用されたりする.柳田氏の場合は見事にそのツボにはまってしまった訳だ. NHKが繰り返し流す映像を見ながら,かの問題発言の前後に,柳田氏は何か言わなかったのだろうか.全体を通して聞いた人には,彼の意図は正しく伝わったのではないだろうか,という疑問が湧いてきた.映像は断片しか見せない.全体の一部だけを見せることで,ずいぶん違った印象を与えることもできる.そういう可能性を日本国民は考える必要がある. 上記で,「不特定多数」と書いたけれど,柳田氏の発言は地元の支持者たちの集まりでのスピーチである.「不特定」ではない.それに歓迎祝賀的な雰囲気の中で,国会答弁の限界を正面切って論ずるのは野暮というものだ.だから日頃気になっていた問題を冗談めかして紹介した,ということでないかと想像している. 内輪ならそれで意思疎通ができた.しかしその映像が不特定多数に流れたことで,不適切な発言として槍玉にあがることになった. 肩の持ちついでに. 柳田氏は大臣として仕事はしていたらしい.「柳田法務大臣辞任会見ノーカット」の動画 http://www.youtube.com/watch?v=WcGYJXCBWcs では,柳田氏は自分がやった or やりかけた仕事を次のような言葉で表現している. - 死刑制度,可視化,検察のあり方検討会議, - 拉致担当大臣として,家族会その他と精力的に会い,議論してきた. - 自分は国会の中で虚偽の答弁,誠意のない答弁などをしたことはない.政治とカネのような問題があった訳でもない.国会にはしっかり対応してきた. - 役所の中でも,それなりのちゃんとした指示をしてきた.検討会議の立ち上げ,最高検の検証に第3者を入れろとか,... - 検察の抜本改革をなしとげねばならない. - 尖閣諸島の問題,大阪地検の問題.大きな仕事を任された.自分なりに道筋は作れた.あとは検察の抜本改革. この最後の言葉「検察の抜本改革」こそ,柳田氏が法相として行おうとした最重要課題であっただろう.辞任にあたって柳田氏は,「検察のあり方検討会議」を継続するように関係者にお願いしたらしい.しかし肝心の法相が辞任してしまったのでは,検察改革の続行は難しいかもしれない. 日本の世論は,いわば「言葉狩り」によって柳田氏を辞任させた.それが日本国民にとって何かプラスになっただろうか? 一方,柳田氏が実行しようとしていた改革は,日本国民の人権を守る大きな一歩となったかもしれない.柳田辞任によって国民は何を得たか,何を失ったか.私は日本の世論は大きな間違いをしたと思う.世論を誘導するのに多大な貢献をしたマスコミもである. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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