両親の家から追い出されたマギー(キャメロン・ディアス)は、姉のローズ(トニ・コレット)のもとに転がり込む。といって、この姉妹の仲が良いかといえばそうではない。二人の性格は正反対。だから喧嘩といざこざは絶えることがない。
一方、姉のローズは、頭が良くて几帳面。だが、男運には恵まれていない。その原因を自分が太っていると思い込んでいるからだ。恋愛に臆病なのだ。
妹のマギーは、恋愛に臆病な姉とはまるで違う。彼女は、美貌を武器に男を誘い、もてあそぶ。いわゆる尻軽女というやつだ。しかし、彼女にもコンプレックスはある。難読症のため、自分の好きな仕事に就けないでいるのだ。そして、本当の愛にも恵まれてはいない。
生真面目なキャリアウーマンと自由奔放で、おまけに盗癖まである妹。そんな二人の共同生活がうまくいくはずがない。案の定、姉が、愛情を育んでいきたい望んでいた上司を寝取ってしまう。
こんな風に紹介すると、話の展開のおおよそは察しがつくかもしれない。が、物語は思いもかけない方向へと向かう。と同時に、映画の舞台はカリフォルニアに移る。マギーが、死んだと聴かされていた祖母のエラ(シャリー・マクレーン)に会いに行ったからだ。祖母は老人ホームにいたのだ。
老人たちに囲まれた生活とカリフォルニアの陽光が、マギーの心をゆっくりと癒していく。
そうした心の移ろいを、監督のカーティス・ハンソンはゆったりと綴っていく。「詩」への感応がもたらしたマギーの変化は、彼女を取り巻く人間たちの心を優しく溶かす。そして、それは観客の心まで上品に包んでしまうことに成功している。