証券会社で行う株式取引について、税務署はある程度把握しているのはご
存知でしょうか。
会社員の方などの給与の場合、勤務先の会社が税務署に給与の支払調書を
提出しています。税務署はこの報告により所得額を把握しています。これ
と同じように、証券会社も株式の譲渡がある都度、支払調書を税務署に提
出しているため、税務署は譲渡額を把握しているのです。
今回は証券取引での支払調書についてご紹介いたします。
まず、株式の取引で支払調書が提出されるのは、次のような場合です。
株式の売却金額が30万円を超えると支払調書が提出されます。株式の取
引で損であったとか利益であったとかではなく、一回の取引で30万円を
超えた売却金額のときに提出されます。30万円以下の売却金額や株式を
買ったときには、提出されません。
また、特定口座でのお取引の場合に、30万円を超える売却があった場合
も支払調書は提出されません。
特定口座での取引では、譲渡益があった場合、証券会社が税務署に代わり
税金を徴収するようになっていますので、支払調書および年間取引報告書
は税務署に提出されません。
源泉徴収をしない特定口座では、支払調書の提出は行われませんが、年間
取引報告書が税務署に提出されるようになっています。
次に、株式の配当金での支払調書が提出されるのは次のような場合です。
1回の配当金の支払が10万円を超えたときに支払調書が提出されます。
会社法の改正によって、会社は年2回の配当だけでなく、年4回の配当も
可能になりました。年2回の配当のある銘柄では、5万円を超えるときに
年4回の銘柄では2.5万円を超えるときに支払調書が提出されるように
なりました。
続いて、株式投資信託の場合はいかがでしょう。売却のときと分配金の支
払のときについて説明いたします。
株式投資信託を譲渡(売却)したときに、その金額が30万円を超えてい
たときに支払調書が提出されます。特定口座での譲渡(売却)のとき、支
払調書は提出されません。これらは株式の場合と同じです。
株式投資信託での解約差益や償還差益が5万円を超えるときは、支払調書
が提出されます。解約差益や償還差益は分配金の取扱いとなりますので、
一般口座でも特定口座での取引であっても、支払調書が提出されます。
株式投資信託の分配金は、年1回の分配金の銘柄のときは10万円を超え
るとき、支払調書が提出されます。年2回以上の分配金の銘柄の場合は、
1回あたり5万円を超えたときに支払調書が提出されます。
株式投資信託では、毎月、分配金を出すものもありますが、1回あたり5
万円を超えなければ支払調書は提出されません。
このように株式や株式投資信託では、証券会社などが、事あるごとに支払
調書を税務署に提出していることは、ご理解していただけましたでしょう
か。
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最終更新日
2008.01.25 12:52:23