演 奏 会 の 旅

​​​開催日：２０２３．１０．２５（水）　１９：００開演
場所　：上田市交流文化芸術センター 上田市立美術館　２階展示室

ミュージアムコンサート　大山大輔（バリトン）へ行ってきました。

プログラム
１．What a Wonderful World（この素晴らしき世界）
２．蘇州夜曲
３．美空ひばりメドレー
４．瀧廉太郎：秋の月
５．ワーグナー：夕星の歌（オペラ『タンホイザー』より）
６．Ｓｅ（Ｉｆ）（映画『ニュー・シネマ・パラダイス』より）
７．愛せぬならば（劇場版『美女と野獣』より）
８．Music of the Night（ミュージカル『オペラ座の怪人』より）

アンコール
９．武満徹　小さな空

レポート
​What a Wonderful World（この素晴らしき世界）​​​​

​​​​​​​​つい先月吹奏楽でこの曲を演奏したばかりということもあり、より親しみを持って曲の世界へと入りました。歌詞は日本語ではないので意味は直接伝わらないものの、どんなことを訴えているのかは直感的に感じ取ることができた感がありました。

蘇州夜曲
服部良一氏による作品で正真正銘の日本の曲ですが、曲調からどこか中国の香りがする感じがあります。またこの曲を聴くたびに20年以上前に蘇州へ行った懐かしいひとときがよみがえってきて、改めて音楽は人それぞれ違う情景を思い浮かべながら聴くものということを感じずにはいられませんでした。

​美空ひばりメドレー​
大山氏より美空ひばりのどの曲が出てくるかは聴いてのお楽しみ！という案内があり、聴きながら「あ～これ聴いたことある！」と宝箱を開けるような感じで楽しませていただきました。

秋の月
大山氏が人前で初めて歌った曲ということで、初心に帰って歌わせていただきますとのことで、今時分の季節感、夜のコンサートという時間感にもぴったりはまる最高のタイミングでの歌唱に、まるで今日のために作られた曲のような印象を受けました。

夕星の歌（オペラ『タンホイザー』より）
オペラ「タンホイザー」における夕星の歌の背景について詳しい説明をしてからの歌唱となりました。この歌はタンホイザーに想いを寄せるエリザベートがタンホイザーの穢れた俗世界からの改心を願って崖の上から身を投げようとしている時、止もせず恋心を歌うというとてもやるせなさを感じるものですが、歌唱後に大山氏から「悠長に歌ってないで、すぐに助けろよ！」とのつっこみが入りました。

Ｓｅ（Ｉｆ）（映画『ニュー・シネマ・パラダイス』より）
つい先日のオーボエ×バンドネオンのコンサートでも演奏された楽曲で、その記憶が新しいうちに今度は歌詞とももに楽しませていただくことができました。歌いだしに「Se～」と入るので、おそらく歌詞は「もし、〇〇ならば。」ということを繰り返しているのだろうと想像する次第です。

愛せぬならば（劇場版『美女と野獣』より）
ミュージカルバージョンだけで歌われる曲とのことで、野獣のテーマでちょうど大山氏の今の髪型（たてがみのような長髪）に絡めて呪いが解けても野獣のままのかわいそうな人の歌です！とのことでした。楽曲は日本語バージョンでの披露となったので、より言語的に野獣の想いが伝わってきました。

Music of the Night（ミュージカル『オペラ座の怪人』より）
大山氏のオペラ歌手としての本気モードが入った歌となりました。小道具としての仮面はありませんでしたが、手で顔の半面を隠しながら歌う演出が入り、怪人の想いがひしひしと伝わってきました。

小さな空
本ブログラム終了後、一回退場した大山氏と折田氏ですが、美術館の展示を見ようと出てきたところ、タイミングが早かったため、またほとんど聴衆がいたため拍手が起きてしまい、サプライズでのアンコールとなりました。

まとめ
終始バリトンの圧倒的な声量を間近で感じることができる距離感でコンサートを楽しむことができました。そしてミュージアムコンサートということで、コンサートじたいは無料ですが入場料700円で入場して展示物を見て、その足でコンサートを楽しむという企画で、うるおうアジア－近代アジアの芸術－その多様性－の展示を一通り楽しませていただくことができ、音楽と美術の両輪が楽しめるという素晴らしい内容でした。