演 奏 会 の 旅
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元帥閣下
プロからアマチュアまでジャンルを問わず行われる演奏会のレポートを紹介します。
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開催日:2024.4.6(土) 13:30開演 場所 :エコールみよた あつもりホール(322名収容) 軽井沢を拠点に活動する廣田喜美先生の生徒さんたちによる発表会に行ってきました。また前回に引き続き上田ウィーンアカデミーで廣田先生にお世話になっている縁でクラリネットアンサンブルの一員としての出場もありました。 プログラム オープニング 1.カーペンターズメドレー クラリネット4重奏 カーペンターズ/石川亮太 ピアノの部 2.トルコ行進曲/ベートーヴェン もっともっと/KEITH.n(子供讃美歌) 3.『ハウルの動く城』より人生のメリーゴーランド/久石譲 4.即興曲 op.90-2/シューベルト 5.ソナチネ op.36,No3/クレメンティ トルコマーチ/モ-ツァルト 6.アイデンティティ/初音ミク アスノヨゾラ哨戒班/Orangestar 7.いつくしみ深き/讃美歌より 乙女の祈り/バダジェフスカ クラリネットの部 8.ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン組曲/ポール・リード 9.ソロ・ドゥ・コンクール/ラボー 10.コンチェルティーノ op.26/ウェーバー 11.ヴァリエーション/ロッシーニ 12.アダージョとアレグロ/シューマン 13.クラリネットソナタ op.120-2 変ホ長調/ブラームス 14.『ディベネティメント』より第1楽章、第5楽章/モーツァルト 15.クラリネット5重奏 上海スクエア/新井千悦子 16.クラリネット4重奏 3つのラテンダンスより/ピケティック 天使の死/ピアソラ 17.クラリネット合奏 くるみ割り人形『序曲』 こうもりセレクション 18.クラリネット合奏 サウンドオブミュージック/R.ロジャース レポート 日頃の成果を生かした素晴らしい発表が続きましたが、より印象に残った演奏についてレポートしたいと思います。 カーペンターズメドレー イエスタデイワンスモアのサビの部分を前奏に、トップ・オブ・ザ・ワールドへと入る構成になっていましたが、なかなかお洒落だと感じました。こちらの楽曲は、もともとはクラリキャットのために書かれた楽譜と思いますが、演奏されている方はもちろん着ぐるみはしていないものの、曲のイメージからキャット4人が演奏していかのような雰囲気が感じられました。 いつくしみ深き 結婚式でおなじみの讃美歌ですが、教会で歌うあの一節から発展する形でカデンツァのような部分が加えられたりと、廣田先生のクラリネットと生徒さんのピアノのデュオによるとても聴きどころの多い深い演奏でした。 ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン組曲 1.Prelude 2分30秒、2.Spring 0分45秒、3.Mists 1分40秒、4.Exotica 1分、5.Summer 1分30秒の5曲から構成される組曲ですが、曲を聴き進むと次々に色々な風景が浮かび上がるような感じがするリアリティーのあるとてもステキな曲だと感じました。 ソロ・ドゥ・コンクール シリアスな雰囲気で始まる楽曲ですが、クラリネットの音域の広さを生かしたカデンツァがあったり、淡々と奏でられる主題がとてもクールな雰囲気ですが、いつのまにか明るい雰囲気になり最後はハッピーエンドとなる…そんなイメージのある曲でした。 コンチェルティーノ op.26 クラリネット独奏曲の大定番曲という印象がある曲ですが、中間部からの明るいメロディーはウェーバーらしい陽気な感じがあって、聴いていてとても楽しい気持ちにさせられるものがありました。余談ながらこの曲は2年前のMusik Raum Concert Vol.20でも演奏されており、その時から私の中ではお気に入りの1曲になっていて、とても楽しめました。 ヴァリエーション つい2カ月ほど前にロッシーニのセビリアの理髪師を演奏する機会があったので、その対比ではありませんが、遊び心が感じられるのはやっぱりロッシーニ風か?という感想を持ちました。キーワードとすればわざとらしく〇〇するみたいなことがロッシーニ風ということになりましょうか。 アダージョとアレグロ どこかで聴いた曲だな…と思って過去の旅を振り返ってみたところ、2年前に横川晴児&秋場敬浩デュオ・リサイタルで聴いたとわかりましたが、1回聴いただけなのにこれだけ耳に残っているのは、シューマンの音楽は独特の雰囲気を持っていて、聴き手の中に強烈に入り込んでくる音楽性を持っているのではないかと感じました。 クラリネットソナタ op.120-2 変ホ長調 2年ほど前に、この曲のヴィオラ版を聴いたことがありましたが、その時の曲紹介でクラリネット版の完成後にブラームスが「蛇が尾を噛んで、環は閉じられた。」という言葉を手紙に残したことからも、ブラームス渾身の出来だったのだろうと推測される…。とのことで、そんな最高傑作を本家のクラリネット版で拝聴することができ、さらに廣田先生の演奏ということもあって、拝聴にあたってまさに今日一の贅沢なひとときになりました。 『ディベネティメント』より第1楽章、第5楽章 オーボエとクラリネットによるデュオでの演奏となりました。どちらかというと濃くて立った音のオーボエの音色と、控えめで淡い音色のクラリネットの二重奏はどうしてもオーボエの音色が耳につきやすいところですが、そこは聴き耳のチャンネルを切り替えることで、どちらも楽しむことができた感がありました。 上海スクエア ユーチューブなどを見るといろいろな団体が演奏している動画が出てきますが、生で聴いたのは初めてでとても新鮮でした。編成はベークラ×4、バスクラ×1ということで、題名か上海の風景を四角い窓から除いているかのようなイメージがありました。もう25年も前のことになりますが、海外への初の一人旅で行った上海の初日に見た外灘の夜景のことをふと想い出した次第です。 3つのラテンダンスより ラテンの香りのするダンス曲は、とても妖艶な雰囲気がありました。会場の照明は一定でしたが、ちょっと暗くすればもっと雰囲気出そう…などと感じるところがありました。 天使の死 つい2週間前に宮田大チェロ・リサイタル with山中惇史で聴いたばかりということもあって、親しみ感があり、そしてこの後天使が復活するのだな…と想像を巡らせつつ、クラリネット4重奏の天使の死を楽しませていただきました。 くるみ割り人形『序曲』 上田・ウィーンアカデミークラリネットアンサンブルが2024年から手がける新曲の初披露1曲目となりました。この曲は、原曲ではチェロ以下の低弦を使わない構成になっているので、本来であればアルト・バスは出番が無い…ということになるのですが、そこは音域の広いクラリネットということで、それぞれ上の音域をメインに使っての演奏となりましたが、それゆえの軽快な響きがとても印象的でした。 こうもりセレクション 上田・ウィーンアカデミークラリネットアンサンブルが2024年から手がける新曲の初披露2曲目となりました。昨年のメリーウィドウと同じ鈴木英史氏による編曲版ですが、2年前にこうもり序曲をやっている関係で一部おなじみの部分もあって、親しみ感も手伝って楽しいひとときを過ごさせていただきました。 サウンドオブミュージック 締めくくりは、クラリネットメンバー全員での演奏となりました。おなじみのサウンドオブミュージックということで、みんなで山に登ろう!的な一体感もあいまって演じ手も聴き手も盛り上がった感がありました。 まとめ 昨年に続いてMUSIC RAUMコンサートを拝聴ならびに演奏参加させて頂いた訳ですが、ピアノの部、クラリネットの部、それぞれに興味深い演奏の数々を拝聴することができました。また偶然ではありますが、過去に聴いた曲をもう一度聴ける機会も多くより楽しめた感がありました。