地方スーパーの善戦
カンブリア宮殿で、地方スーパーの逆襲を特集していました。1.福岡のマルマツ福岡県柳川市にあります。地域シェアは20%だそうです。人気の秘密は、新鮮さと安さです。他店と比べてもダントツの安さです。1店舗のみでがんばっています。松岡社長は大手に勝つため、単品カレンダーをつくっています。客数もぴたりと当てます。客数と販売数、単価などがすべて1日ごとに、しかも天気とクロスさせています。機会ロス、廃棄ロスをなくすために、社長は長年、営業時間中に雨だった割合と売上との関係を分析してきました。消化仕入れも同社の特徴で、メーカー担当者が棚に商品を品出しします。通常、メーカーは納品した時点で入金されますが、マルマツは客が購入した時点でメーカーに入金されます。賞味期限切れはメーカー負担、メーカーが値決めをしています。メーカーにとっての負担は大きいですが、消化仕入れの場合は通常より2%高く仕入れしているといいます。データ経営の原点は「行商」だそうです。売れる品物しか重くて運べないですが、お得意先の必要なものはすべて把握しているのです。この独自のチェーンシステム構築の転機は、チェーンストア同士の競争激化で、特売合戦を仕掛けました。しかし、その反面でお得意様、常連客を見捨てることになりました。そこで会員カードをつくって、一般価格と会員価格の2種類を掲げて常連客優遇政策をとりました。その代わり、広告チラシは一切打っていないとのことです。また、会員限定のマルマツ観戦ツアーに無料で招待する取り組みも行っています。2.サンシャインサンシャインベルティス高知県高知市にあります。イオンのそばにあるのに、売上を伸ばし続けています。地元の魚を漁協から直接仕入れています。また、野菜も直接契約している農家1,800戸から仕入れ、農家が直接持ち込み、値決めも自分たちで決められます。肉は新しい加工時間のものを置けば、古い商品は即値引きします。3.ニシヤマ京都府福知山市にある5店舗運営のスーパー。プライベートブランド商品に特徴があります。たとえば、さんまのみりん干しなど年間40枚を売っており、味にこだわりをもっています。境港の魚加工工場で北海道のはたはたをみりん干しにして、プライベートブランドにしようとしています。このように、おいしいものがこの店にはあるという独自性を打ち出せば他店に負けないと訴えます。4.ヤオコー埼玉中心に106店舗を展開する中堅スーパーですが21期連続で増収増益です。惣菜が充実していることが同社の特徴です。惣菜のほとんどは店内調理です。調理人の名札には、つくることのできる惣菜がかかれています。「惣菜マイスター」制度があり、21のチェック項目を設けた社内独自の技術認定試験をパスした者だけに与えられます。ヤオコー川野会長は毎週日曜は視察に当てています。ヤオコーは高度成長期に、チェーン化を急速に進めます。しかし、川野が三代目社長になったとき、売れ方の変化に気づきました。イトーヨーカ堂やダイエーにできない、ヤオコーならではの売り方が必要だという危機感を抱いたそうです。そのため、食の提案をキーワードに掲げます。その目玉が焼きたてパン、クッキングサポートといわれる料理の提案コーナーです。埼玉郷土料理の「すったて」を振る舞い、レシピも用意しています。---------------------------地域によって食のニーズは多様なんだなと思いました。多様な需要に対して、供給する側は規模が大きいとかゆいところには手が届きません。薄利多売で地域によらず同じ品揃えをする店の優位性はなくなったように感じます。ナショナルブランドでも安ければそれでいいのかもしれません。一部の大規模ディスカウント店と、多くの提案型リージョナルチェーンとに二極化していくように感じました。食品スーパーに限っては適正規模が存在するのかなと思いました。