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テーマ:好きなクラシック(2324)
カテゴリ:ベートーヴェン
前任者の置き土産の膨大さに今さらながら呆然とするばかり。 なにせ、昨年・一昨年分の処理が未済のまま! 今月の監査を前に、マイペースな僕もようやく重い腰を上げて書類の山に向かっております。 今日、役所に持って行ったCDは、 クーベリックのベートーヴェン交響曲全集。 コンパクトでなるべく飽きのこないもの、 という眼目で選んでいたら、ふと思い出したCDです。 この全集の特色は、 ベートーヴェンの9つの交響曲を 9つのオーケストラで 振り分けているということ。 順番に追っていくと、 第1番のハ長調は エレガントな ロンドン交響楽団 第2番のニ長調は 光り輝く アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 第3番“エロイカ”は サラブレッドのような ベルリン・フィルハーモニー 第4番の変ロ長調は 気骨ある俊英 イスラエル・フィルハーモニック・オーケストラ 第5番のハ短調は 激しさの中にも繊細さを忘れない ボストン交響楽団 第6番“田園”は 柔和で粋な パリ管弦楽団 第7番のイ長調は ドイツのリズムと音色を今に伝える ウィーン・フィル 第8番のヘ長調は 比類なきアンサンブルの正確さを誇る クリーヴランド・オーケストラ そして 第9番のニ短調は クーベリックと最も縁が深く、彼が全幅の信頼を置く朋友とも言える バイエルン放送交響楽団 が受け持っている。 クーベリックの指揮は、20世紀のグランド・オーケストラの巨匠然たる堂々としたものだ。 しかも、それぞれのオーケストラの特色を活かし、見事に振り分け、振り切っている。 9つの一流オーケストラを相手にベートーヴェンの交響曲を「振り分けた」指揮者は、このラファエル・クーベリックをおいてほかになく、その偉業は、録音の聞き手であるわれわれの好奇心をはるかに超えるものだ。 彼がその容貌とともにフルトヴェングラーになぞらえられた理由もわかろうというもの。 未だかつて、彼をおいて9つのオーケストラでベートーヴェンを振り分ける機会を得たマエストロがいたであろうか? この全集は、全曲全楽章、一瞬の弛緩もない見事な出来であるが、 あえてその白眉を選ぶなら、 第3におけるBPOの迫力、第7のWPOの端正なやわらかさ、第9の堂々たる威容がすばらしい。 あと、第2番の中庸の美は、必ず触れておかねばならない忘れがたい記録だ。 さて、今日、この贅沢な全集を役所に持ち込んだ僕。 パソコンにヘッドホンをつなぎ、しばらくノリノリご機嫌で帳簿にゴム印を押していると、 トントン、 と僕の机をたたく私服の課長。 課長? 「おつかれさん」 応援に来てくれたのだ。 「邪魔して悪いね」 いえいえ、今日は第1から第3番までしか聴けませんでしたが、 助かります。 幸いにして、今の時代、音楽はいつでも聴けますから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月03日 23時42分36秒
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