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カテゴリ:s_novel
私はいつも音楽を聴くのが好きです。
iPODに記録された音楽を聴きながら散歩をしたり、自転車に乗ったりしています。 今日は彼に逢える日なのでご機嫌です。 仕事を速く切り上げて小さな橋の上に来てみたら、ちょうどお気に入りの曲にさしかかったので、そのままその曲を聴きながら彼を待つことにしました。 [Encounter is accidental.] そういえば私たちもこの場所を訪れたこと自体偶然だったなあ。 [Why is it so painful?] おたがい忙しくてなかなか逢えないのだもの… [People repeat separation and ask for love.] だから離れている時間が長いだけ好きな気持ちも強くなるのかな? [Collect the tears for which it is full of many night.] 一時期はよく泣いちゃったなあ。 彼に泣いているところを見られちゃったこともあるし… [Two passing persons] このごろはだいぶなれてきたかな [It keeps away. Or can it nestle up?] でも、やっぱり、二人の時間は大事にしたいな。 どん! いきなり横から彼に体当たりされました。 “わっ、もうっ! びっくりしたぁ” “もう、ずいぶん寒くなってきたね。だいぶ待った?” “そんなことないよ。1曲分ぐらいかな?” “ふふん、ミディアムバラードが好きなんだ…それとも女性ボーカルがお気に入り?” “どうして判るの?” “だって歌ってたじゃない” “えっ、歌ってた? まじぃ?” 彼はくすくす笑ってうなずいています。 彼に私が歌っているところを聴かれたことが なんだかすごく恥ずかしい。 “ずるいなあ。すぐ声をかけてくれればいいのに…いじわるして” “いじわるなんかしてないよ。どんな曲を聴いているのかな~と思ってちょこっと聴いていただけだよ。” “ひどいよぉ” 私は彼に背を向けて自転車の方にすたすたと歩き出しました。 “ちょっとまてよ” 彼は私の腕をつかんで引き寄せました。 “やっと逢えたのに…そんなことですねるなよ” “だって…” ほんとは、彼に私の歌を聴かれたことよりもどんな歌がお気に入りが知られることが恥ずかしかったのです。 なかなか一緒になることができない恋人たちの歌… “歌を歌っているところなんて観たことなかったから、すごく嬉しかったんだけどな” 私の頭の上で彼がそうつぶやきました。 [I want to tell you infinite love.] あなたに抱きしめられながら頭のなかで大好きな歌のリフレインがいつまでも続いています。 “俺たちは、もう、すれ違ったりしない” ほんとに聴いてたんだ。覚えてるしぃ…。 “堕ちていく”ってこんなかんじなのかなあ… 夜空を見上げながら彼がつぶやきました。 都会の夜空でも、冬になると割と綺麗です。 数少ない星が手に届きそうな… 深くて複雑な漆黒に吸い込まれそうな… そんな夜景もやがて彼に遮られてしまいました。 [falling…] そう、これが “堕ちていく”ってことなのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 29, 2006 07:51:50 PM
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