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テーマ:家を建てたい!(9922)
カテゴリ:トルコで建物づくり
早朝、空はまだ薄ぐもりだった。 昨日の午後から随分と降った分、今日はこのまま降らないでくれるのでは、と淡い期待を抱いたが、どうやら甘かった。 窓ガラスにポツリポツリと当たりはじめた水滴を見て、子供たちを学校に送っていく際、念のためと傘を携えたのだが、徒歩5分という短い道程の途中で突然雨脚が強まり、傘が大いに役立った。 学校に駆け込むと、すでに外は土砂降り状態。 そこへ、夫からの電話が入った。 今しがたオトガル(バスターミナル)に着いたところで、待っててくれれば学校に迎えに行くからという。 これしきの雨、どうってことないのになあ・・・と思いながら、せっかくの配慮を無駄にしないよう、夫の迎えを大人しく待つ。 郷里での話し合いや手続きについて夫の報告を聞く。すべてうまく解決したのだそうだ。内心ほっとする。 また、カレイチの工事現場監督ともすでに連絡が取ってあり、今日は作業は雨のためできないという。 次の日曜日には夫がアンタルヤを離れるので、その前に本格的な基礎工事(木枠を巡らし、鉄筋を埋め込み、コンクリートを流し込む作業)に取り掛かっておきたかったのだが、あと少しというところで雨に祟られている。 いずれにせよ、ベレディエ(区)からのルフサット(許可、ここでは建築許可)がまだ下りないので、今のところ準備しか行えないのではあるが。 ・・・・ 昨年末にミュゼ(博物館)からの許可が下りた後、予定では1月の10日過ぎにはベレディエの許可も下りるだろう、というのが建築家サイドの読みだった。 しかし、例によってなかなか進展せず、1ヶ月経っても状況に変わりはなかった。 1月の第1週には地盤検査も行い、検査結果はすぐ出る「はず」だったのに、これまた1ヶ月も出てこなかった。 建築請負人の問題もなかなか解決しなかった。請負人資格を持つ人間が限られている上、金にならないとかいろいろな理由で、知り合いの請負人にも断られ、最終的には建築家が「このために」よく依頼する請負人に来てもらい、いわば謝礼と引き換えに名前を貸してもらったのだった。 タプ(不動産権利証書)の控えや土地台帳なども、最初の提出から何ヶ月も経つと無効になるので、その度に新しい控えや書類を作ったりしないといけない。これらの書類を発行してもらうのに、いちいち農業銀行の指定支店まで手数料を払いに行かなければならないのも煩わしい。行ったり来たりするのに車で往復30分はかかるのだ。 そしてなにより大きな問題は、これら諸々の法的手続きが、土地の持ち主、建築主である夫本人なしには、まったく捗らないこと。 結局、夫がアンタルヤに戻ってきた今月初めになって、ベレディエの要求するすべての要件が揃ったのだった。 ところが今度は、待てど暮らせどルフサットが下りない。建築家本人も、スタッフも、毎日最低1回は電話したり、窓口に詰め寄ったりしてくれるのだが、たった一人しかいない建築課の責任者がいっこうに仕事を進めてくれないらしい。 日頃、温厚できわめて紳士的な建築家が、この責任者と顔を合わせると「思わずキレそうになる」というくらい、業務怠慢が明白らしい。 まず、業務時間中に席にいない。あるときは外で立ち話。あるときは遅刻、あるときは早退。席に来たと思ったら、まずお茶。目の前で人を待たせておきながら、「これを飲むまで待ちなさい」などと平気で言うそうだ。 ちなみに、この責任者は女性。 建築面積を計算し、添付書類ともつき合わせて法律に適っていれば、すぐにも許可を下ろすことができるはず。しかし、それを簡単にはやりたくないらしい。提出した図面には、1階の面積いくら、2階の面積いくらときちんと明記されているのに、「総面積を計算して提出しなさい」などと、くだらないアラを探して時間を稼ぐらしい。 アンタルヤでは名の通った売れっ子建築家の彼は、同時に何本ものプロジェを抱えているので、彼女の存在は目の上のたんこぶ以外の何者でもないという感じだ。 なにしろ、ミュゼに提出する前段階のプロジェと、ミュゼから帰ってきてルフサットの申請用のプロジェと、その両方がこの建築課の責任者のサインひとつにかかっているのだ。 この頃は、オフィスに夫が顔を出すと、建築家は大袈裟なゼスチャーで、赤い電話の受話器を取り上げる。 「今、目の前にオーナーが来てるんだ。一体ルフサットが下りるのはいつになるんだね?」 一種恒例のパフォーマンスとして、そんな風にプレッシャーをかけてくれる。 なおベレディエは、個人の所有地にもかかわらず、1平方メートル当たりいくらという建築許可料?(正確な名目は不明)まで徴収するらしい。いってみれば「ショバ代」のようなものである。これでは、まるでマフィアではないか。 とにかく、そんなこんなで、ルフサット申請の諸手続きに、すでに4.5ミリヤール旧TL(約36万円)もの経費がかかっているのだ。 なんとかしてもらわないと、こちらが困る。 ・・・・ 午後には雲が晴れたのだが、現場には水が溜まっていて、作業ができなさそうだという。結局、終日休息日となった。 それでも、建築家と工事責任者に確認したいことがあったので、午後からカレイチに出向き、建築家のオフィスに顔を出す。 彼は、またもや赤電話を取り上げる・・・・。 今日中にはルフサットが下りそうだ、という話だ。 明日、明後日の天気さえ良ければ、この日曜日には基礎を打てるという。 建築家といくつかの確認事項について打ち合わせ、オフィスを後にした。 午後4時過ぎ。建築家から、夫の携帯に電話が入った。 とうとう、ルフサットが下りたという。 や~れやれ。。。やっと、である。 ミュゼの許可が下りてから、ここにこぎつけるまで、1ヵ月半以上かかった。 これから、基礎工事は「本番」に入ることができる。 「工事自体は、始まれば早い」と工事責任者も太鼓判を押している。 明日からは、すべての準備、作業が障害なく、迅速に進むことを願うばかりだ。 あとは、フルトゥナさえ、大した事なければなあ・・・・。 インシャッラー・ヤーマスン!(どうか降らないでおくれ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/02/27 01:24:12 AM
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