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南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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2005/04/26
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車のボックス席に腰を掛け、従兄弟のネジャットと打ち合わせをしていると、のこのことブロックの様子を見にやってきたらしい、例のコンクリート業者の姿が見えた。

「奴が、ムスタファが来たよ」
ネジャットを促し、車を下りる。
夫はすでにイスタンブールから電話を掛けて、相当文句を言ったはずで、それに対し「申し訳ない」と謝ったとは聞いている。
それでも、ここで会ったが百年目。とっちめれてやれるものなら、ひとことふたこと言ってやろうと私は身構えた。

型通り、握手をしながら挨拶を交わした後で、私は単刀直入に問い質した。
「私たちは、単価75クルシュのネヴシェヒル産を4200個、注文しましたよね。
でもこれは、単価70クルシュのウスパルタ産ですね。それも・・・」
私の話を最後まで聞かずに、奴、ムスタファは「ハ~ユル(いいえ)」と首を横に振る。
「イェンゲ(奥さん)、私が説明したのは、最初からウスパルタ産ですよ」

それを聞いて、黙っちゃいられない私。
「あなたは、一度たりとウスパルタ産の説明はしませんでしたよ。名前すらね。単価70クルシュだなんて、価格差についてももちろん私たちは聞いてません」

ムスタファは、しゃあしゃあとした顔でそれに答える。
「イェンゲ、あなたは同席していないから知らないだけで、アフメットさん(夫のこと)はご存知でしたよ」

次第に声の高くなる私。
「ハ~ユル!私は車の後ろでちゃんと話を聞いてましたよ。あなたは、工事現場まで私たちを連れて行って見せ、ネヴシェヒルだの、リューマチ予防になるだの、夏涼しく冬暖かいだの、説明したじゃあありませんか。それに単価は750(75クルシュ)だと」

ムスタファはなおも、しらっとした顔で答える。
「そうですよ。リューマチ予防にいい。それに夏涼しく、冬暖かい。正しいです。
でも、お見せしたのはウスパルタ産です」
「じゃあ、あのお隣に持ってきたのも、あれもウスパルタ産だと言うんですか?」
「エヴェット(ええ)」
私は、完全に煙に巻かれているような気分だった。

「じゃあ、カッパドキアで大雨が降って出られないという話は?」
「カッパドキアだなんてひと言も言ってない。ウスパルタですよ。
きっと、アフメットさんは、電話でよく聞こえなかったんじゃあないですか?
でも、アフメットさんはウスパルタから来るって、ちゃんと知ってたはずですよ」
「よくまあそんなことを!知るわけがないじゃあありませんか!」

奴との会話はどこまでいっても平行線を辿った。
ネジャットはしばらく黙っていたが、作りが悪くて欠損品が多いから、仕事に時間がかかる、とひとこと文句を言うと、ムスタファは少し乾かしてから使ったらどうかと提案して、さっさとその場から立ち去った。
奴の姿が消えたのを見届けると、私はネジャットの方を振り向いて毒巻いた。
「あいつは一体何のために来たの?よく顔を出せたものだわ」

残念ながら、奴の方が一枚上手なのは間違いなかった。
注文書ひとつ使わない口頭での商売の裏をかいた、奴のひとり勝ちであった。






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最終更新日  2005/11/03 05:31:31 AM
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