桜の開花宣言が21日に出て、ソメイヨシノが花を咲かせてきています。
なんと言っても、桜、ソメイヨシノが多いので、桜と言えばソメイヨシノになります。
しかし、佐野藤右衛門(語り)小田豊二(聞き書き)の『櫻よ 「花見の作法」から「木のこころ」まで』 (集英社文庫 2004年)を読むと、桜は、ソメイヨシノだけではない、ということがよく分かります。
佐野藤右衛門さんは、京都生まれ。嵯峨野の広沢池の近くに住む造園業・植藤の16代目。もともとは御室仁和寺出入りの農家でしたが、5代前から植木職になりました。パリのユネスコ本部の日本庭園を手始めに、世界各国の日本庭園造築にかかわり、桜の調査のために全国各地を駆け回っておられます。
「桜が咲く季節になると私は毎日、『今日何日か』と聞きます。もちろん、月日を聞いているのではありません。月齢を聞くのです。いつが満月か、と。桜はだいたい満月の時に咲きます。その少し前、気圧が下がって雷が鳴ります。その際、よろいの様なつぼみがはじけるんですね。こうして桜は咲くんです。」
満月に咲くというのは、素敵だな、と思います。でも、温暖化の影響はどう出るのかなと思います。
桜は、とにかく、たくさんの種類がありますが、佐野藤右衛門さんは、山桜、彼岸花、大島桜という3種が日本の自生の桜だから、とりあえず、この3種だけを覚えていたら良いと言っています。
それを信じています。
が、ソメイヨシノが全体の80%をしめているので、日本は、ソメイヨシノ一色という感じです。
もともとは、東京の染井で、彼岸花と大島桜を掛け合わせてできたと言われています。ソメイヨシノは、花がたくさんつき、接ぎ木が簡単なので植木屋さんがどんどん増やしていきました。特に、日露戦争や昭和天皇の即位の記念などに合わせてたくさん植えられたのだそうです。
しかし、そのソメイヨシノはミツも出ないし花粉もありません。ミツを出さないから、虫が来ません。それだから実がなりません。実、実を食べる鳥も寄りつきません。そのように、ソメイヨシノには、鳥も虫も寄りつかないのです。その代わり葉っぱだけは食べられるので虫がつくのです。
ソメイヨシノを見る眼が違ってきます。
花は早く咲くけど、寿命も短いのだそうです。せいぜい100年しかもちません。
桜の季節、ソメイヨシノ、ソメイヨシノともてはやされているけど、どこか、少し寂しいですね。