ヴィレッジヴァンガード下方修正
ヴィレッジヴァンガード(以下「VV」と言います)が異例とも言える下方修正を再リリースしています。VVと言えば昨年太っ腹な株主優待を発表して株価は上昇しましたけど、この株主優待投資、ワタシにとってはあまり賛同できるものではありません。このように言うと株主優待族の方々に叱られそうですが、株主優待投資が初心者でもエントリーしやすい投資手法として紹介される点で少々疑問に思うわけです。株主優待投資のメリットとしては(1)安い単元株で割引券、クオカードや図書カードなどの金券をもらえてお得である(2)毎年優待がもらえる点で長期投資に適している、という2点に収斂されると思います。(1)については、株主優待によってその企業の会社価値は低減するわけです。よく言われる「ATMで自分の口座からお金を引き出して『得した』と喜んでいる」のと同様です。また、ヤフオクで高く売れるか否かで企業の評価が左右されることがありますが、当該優待の価値よりも高く取引されることはないわけで、まったく関係のない第三者に通常の価値よりも低い価格で提供されることになります。これが株主として許容されることなのでしょうか。(2)については、株価が下落して塩漬け状態になっても株主優待で癒されることで結果的に長期投資になるという思考だと思いますが、塩漬け状態は儲けの機会損失になります。また、業績が悪化すれば株主優待の内容が縮小されることもあります。株主優待によって塩漬け状態でも耐えるというのは単なる気休め・あるいは自己暗示のような気がしてなりません。株主優待を中心に運用を続けている有名な個人投資家(有名どころでは、み〇まるさんとかwww〇〇〇〇さんとか)にあっては、単に優待コレクターではなく投資判断や相場感を重視しています。魑魅魍魎な株式市場という荒波を乗り切るだけに必要なスキルと経験を併せ持ってこその投資手法なわけです。この点に注目することなく、そこらへんの雑誌やTVのように「お得感」だけで株式投資の魅力と紹介するのは極めて危険と思うのです。個人的には株主優待よりも配当のほうを好みます。配当金は再投資に回すことができます。配当金は株主優待と同様に会社の資産から拠出されるものですが、株主資本コストとROEとの関係によっては増配することによって会社価値を高めることができます。株主優待の内容が改悪されると「株主思いの会社ではない」と酷評されることも多いですが、そうした一時的な政策に囚われることなく、業績も含めた会社価値の向上を目指すオペレーションを実施している企業を応援したいと思うわけです(このような配当政策を採用している会社があるかどうかは別の話で)。投資は自己責任ですので、株式優待投資を否定するつもりはありません。そもそもそんなこと心配するヒマがあるなら自分のことを心配せいや、という感じではありますが、個人投資家に人気のあるVVの業績悪化を目の当たりにして銘柄選定の難しさ、投資手法の重要性を垣間見た気分なのであります。