テーマ:禁煙・嫌煙・分煙(1830)
カテゴリ:禁煙・嫌煙・分煙
日本はたばこに関しては無秩序、無法状態。 それに甘んじる喫煙者もクズです。 6月8日、厚生労働省が「がん対策推進基本計画」を公表した。2006年に施行された「がん基本法」に基づき、07年に第1回目の基本計画が策定された。5年ごとの見直し方針により、16年度を目標とした第2次の発表となった。がんによる死亡者の減少と、患者と家族の苦痛の軽減、QOL(生活の質)向上など幅広く盛り込まれた内容で、そのための医療技術・サービスの向上や予防、早期発見のための検診にまで及ぶ細目が挙げられている。この中で、予防の重点項目として比較的大きく扱われているのが受動喫煙を含むたばこ対策だ。 喫煙による肺がん罹患(りかん)率の高さはあらためて書くまでもないが、肺がんのみならず、喫煙が多くのがんや心血管疾患、呼吸器系疾患に重大な影響を及ぼすことは、すでに多くの人の知るところだ。また、喫煙者本人は、高温燃焼を経た煙をさらにフィルターを通して吸うが、副流煙は、低温で燃焼度が低いうえフィルターを通さないため、有毒物質を多く含む。喫煙者本人よりも受動喫煙者の健康被害が大きいのだ。 WHO(世界保健機関)の提唱する「たばこ規制枠組み条約」の批准から8年。国内でも、オフィスや路上、公共施設での分煙は、かなり浸透しているといっていい。たばこの煙が苦手だと口にすると「空気を読めない、身勝手なヤツ」と冷ややかに扱われた一昔前に比べれば隔世の感がある。もちろん、「その席では喫煙しない」というだけで喫煙席からの煙にさらされっぱなしの「名ばかり禁煙席」や、オフィスビル内は全面禁煙となっているものの、ビル外の公開空地に灰皿を置いただけで囲いも空気浄化設備もないものを「喫煙所」と称しているケースも多い。 厚労省の公表では「全面禁煙か喫煙所を設けている事業所が64%になった」とされるが、実態の検証が必要だろう。実際、東京都中央区や港区をはじめとして、路上に灰皿を置いただけの喫煙所はいまだに数多くあり、通行人や近隣のビル入居者はつねにたばこ煙にさらされている。 進まない住居エリアの対策 だが、それでも公共施設や職場の環境はまだましだ。住宅エリアでのたばこ煙害については、いまだに何の対策も取られていない。WHOの枠組み条約第八条「たばこの煙にさらされることからの保護」は公共施設と職場環境を対象とし、住宅周辺での受動喫煙に関しては、無視されているレベルといっていい。 家庭、といっても喫煙者のいる家庭内だけが問題なのではない。住宅密集地に軒を接して建てられている戸建て住宅や集合住宅などは、被害防止対策が未整備どころか、いまだに“無法地帯”だ。一時期、JT(日本たばこ産業)が気配りある喫煙として推奨していたために、いまだに玄関先の共用廊下やベランダでの喫煙が絶えない。その煙が流れる先は、自分の家ではなく近隣の住戸だ。そんな所で喫煙されれば、煙は否応なく入り込んでくる。窓を閉めエアコンを稼働させても、最近の建物は24時間強制換気システムになっているからだ。それでなくても節電が声高に叫ばれている中で、窓を閉め切ってエアコンをかけること自体がはばかられるご時世でもある。 換気扇の下での喫煙も、気配りのある喫煙と信じられているようだ。しかし、有害物質を除去しないままの煙を屋外に流出させているという点で、ベランダ喫煙と同じく近隣住民に健康被害を与えているという状況に変わりはない。 だが、こと住宅の場合、被害があっても表ざたにすることはなかなか困難だ。近所付き合いに支障が生じることを恐れ、せいぜい窓を閉める程度が関の山。仮に心臓疾患など持病について説明し丁寧に頼んだとしても、まともに対応してもらえるとは限らない。かえって被害者宅に向かって煙を吹きかけたり、ベランダの仕切り越しに火のついたままの吸い殻を投げ込むなど、犯罪すれすれの嫌がらせを受けることも少なくない。喫煙者のモラルに帰することはたやすいが、受動喫煙による被害の認知度が低いことにも起因する。さらに、被害者を救済するための法的な裏付けもない。被害者は泣き寝入りするほかないのだ。 まだある喫煙者側の甘え ベランダ喫煙に関しては、煙害のみならず、火災のリスクも大きい。特に集合住宅の火災の原因の中で、近年大きく増えているのがベランダ喫煙によるもの。10年に東京消防庁が特に注意を呼びかけたほどだ。その後も、絶えず都内各消防署による注意喚起が行われている。 分譲マンションなどでは自治会に申請する、賃貸なら管理人や大家に訴えるなどの手段はあるものの、自治会長や大家自身が喫煙者なら、対応が形式的なものに終わり、実際には何の効果も得られない可能性は高い。大手のマンション管理会社の中には、被害の訴えがあったときのために、共用部分へ煙の流出を起こさないように促す掲示文の雛形など準備しているところもあるが、現状では特殊な例といっていいレベルだ。多くの管理会社は「自治会から訴えがあれば、その都度対応を考える」程度にとどまっており、積極的な被害防止にまでは至っていない。 喫煙者に対する禁煙指導は、元を断つ意味で重要な戦略だ。勤め人にとっては、一日の大半を過ごす職場や公共施設の完全禁煙、分煙も望ましいことではある。だが、生活の基盤である家庭周辺のたばこ煙対策は、大きく後れを取っている。体調不良などで休養したくとも、家庭の環境が職場より劣悪なら、安心して休養することができない。従業員の健康管理に問題が生じれば、企業社会にとっても損失となる。 たとえば、ピアノなど音の大きな楽器を演奏する家庭では、吸音材・防音材の設置や、窓の二重化など、余裕がある家庭なら数十万円から数百万円をかけて防音工事を行い、近隣に迷惑をかけないように気を配るのが当然とされている。一方、喫煙に関しては、社会の目が甘いこともあり、「自分一人くらい大目に見てもらえるはず」「大目に見るべきだ」という甘えが喫煙者側にある。 JTが主張するように、たばこは嗜好品であり、喫煙は本人の選択である。これを外部から強制してやめさせることはできない。だが、非喫煙者にとって、ことに心臓疾患や呼吸器系疾患を持つ者にとって、たばこ煙は暴力そのものだ。喫煙者自身の家庭だけでなく、近隣住民の健康を損なわないよう、たばこ煙排気からの有害物質除去、あるいはたばこ煙そのものの排出規制など、厳しい義務を課すべきである。 (シニアライター:小長洋子 =週刊東洋経済2012年6月23日号) (記事)
WHOの主導のもと、世界中の先進国で禁煙化が進む中、 JTは莫大な資金で規制のない途上国へたばこを売ろうとしています。 JT製品を買うってことは人殺しの資金提供なんですよ! ニコチン中毒では先生失格・親失格 子供達に応援してもらって禁煙しよう
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