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カテゴリ:文学
「あー今日の1冊は「エディプスの恋人」筒井康隆である。筒井康隆というと、A夫君、君はどの小説を思い浮かべるかね」
「はい。~時をかける少女~です。」 「うむ、NHK 少年ドラマシリーズで映像化されたのう、ワシも小学生の頃、それは楽しみに見ていたものじゃ」 「は?NHK?原田知世が?」 「あれは角川映画じゃ、ヤクでつかまった元社長はワシの好きな薬師丸ひろこより彼女がお気に入りだったんじゃ」 「今日の授業と関係有りますか?」 「うっほん。ない・・・、あーB子君はどうじゃ」 「タイムトラベラーだったら、知ってます。母が原田真二とかいうおじさんが好きだったって」 「いや、それはむかーしのポップスじゃ」 「あとは、てんかん問題で絶筆宣言をした人としか知りません」 「知っとるじゃないか。うむ若い君たちには馴染みが薄いかもしれんが、ワシの年代ジャと筒井ストが多いんじゃ。ハチャメチャ物、ハラほれ物とか、それはそれは面白かった。」 「何を言ってるかさっぱり分かりません」 「ごほっ、ホラーも書くが、やはりSFの分野での業績も忘れられん。夏の授業で彼の~家族八景~を取り上げたのを憶えているじゃろう?」 「誰も憶えてないと思います」 「最近ちと音楽の授業が多すぎたかのう」 「休講ばっかりじゃないですか」 「むむ・・・腰や肩が痛くなったり、花粉が飛び始めたからじゃ。べ、別にさっぼているわけではない」 「早く先に進んでください」 「うむ。これはその{家族八景}の3作目なのじゃ。俗に主人公の名を取って七瀬3部作とも言う。2作目は皆も知っている通り{七瀬ふたたび}じゃ」 「知りません」 「なんと、かの昔、NHKで多岐川裕美主演で映像化されたのを知らぬか?」 「またNHKですか?バイトで衛星アンテナでも探して廻って、視聴料を取ってるんじゃないでしょうね」 「そんなことはしておらん。基本的にあの局は嫌いじゃ」 「でも義経の常盤御前役の稲盛いずみを、もっと出せって、この間の授業で言ってませんでしたか」 「い、言っておらんぞ。確かに彼女は好きじゃが」 「やはり年を取るとNHKが好きになるのでしょうか」 「ワシは、そんな年寄りではないぞ。甲子園大会を見るのも、あの局でしか見られんからじゃ」 「ハイハイと。で?」 「そうそう、1作目は心理サスペンス兼、人間の心の深ーイ闇を見事に書いておった。2作目はサスペンス兼、純SFだったノウ。で3作目は{神}がテーマじゃ」 「神様?」 「そうじゃ、実に深い。ニーチェの手により神は死んだが、筒井康隆の手によって、神は復活したのじゃ」 「ツァラトストラなら知ってます。読んだわけじゃないけど」 「あれは超人がテーマじゃ。人間が超越する事により・・」 「ハルクに成る」 「ちがーう。次へ行こう。超絶対者、こう言うと人格の有るものに成ってしまうが、長くなるので良しとしよう。つまり宇宙意思じゃ」 「イッシー?じゃあノッシーもいるの?」 「それは怪傑ゾロリじゃ。小学生以下の子供のいる人以外分からんじゃ無いか。意思じゃ。」 「それで・・・、あれ?もう1時じゃ」 「今日の授業はお終いですよ教授」 「むむ、また嘘つきになってしもうた。百恵ちゃんの話も有ったのに」 「また明日という事で」 「後1回で終わるか心配じゃ、肩もまだ痛いしのう」 「休講の布石ですか?」 「ごほん、諸君、今日はこれまでじゃ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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