でくのぼうくん
野原の松の木の林の陰のちいさな茅葺きの小屋にでくのぼうクンはひとりで住んでいました。この間まではおじいさんがいたのですが死んでしまいました。ひとりで困っていたら空から円盤が不時着してひん死の宇宙人が「茅葺きの屋根を壊してしまい、すみません。かわりにこの帽子をあげますので許して下さい。」と言ってしばらく縁側で休んでいたのですが消えてしまいました。でくのぼうくんのおじいさんは死ぬ前に「毎日勉強をして、食べる物を作って、森や林や、そこにいる生き物たちと共に生きて行くんだよ」と言って亡くなりました。でくのぼうくんは「はい」と言いましたので、その約束を守って毎日おじいさんの残した本を一生懸命読んで勉強していました。夜になると、宇宙人がくれた帽子は明るい光を放ちました。でくのぼうくんは文字が読みやすくとても助かりました。でくのぼうくんは畑に行きさつまいもを取って来ました。おじいさんが生きている時に作ってくれた物です。宇宙人の帽子をさつまいもの上にかぶせると、ホカホカの焼き芋になりました。さらに甘みが増してこれまでに食べた事の無いような美味しい美味しいおイモになりました。ふくろうがそろそろホウホウと鳴きそうな時間に、でくのぼうくんは寝ます。いつも同じ時間です。時計がなくてもわかります。人間はだいたいわかるようになっています。でくのぼうくんが寝ると、ぼうしはそっと暗くなっていました。