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カテゴリ:コラム
第一章
入力部分 入力とは字の如く音の入口になる. 各楽器とつながるところと考えていただければよいと思う. 入力端子には色々な方式がある. 見た目こそ同じでも,内部構造が全く異なる部分もあり機器の設計内容によっては思わぬアクシデントにつながる場合がある. "わからない"からテキトーではなく,わかるまでじっくりと頭に叩き込み"適当"に使用する必要がある. 最も頭を使う部分といってもいい箇所かもしれないので頭脳戦で挑もう. 入力部分 入力を知るためには信号の種類ならびに端子(コネクタ)を知っている必要がある. それでは早速,信号の種類と端子について説明していくわけだが,専門用語の如く複雑な名称がたくさん出てくるので簡単に表現するためにサウンドミキサーでしばしば用いられる音声方式と端子の表を以下に用意した.
記載しただけでも1つずつ説明するには何ページあっても足りないが必要最低限に絞って記載していく. ・単一導体音声信号とは これはケーブルの中の線が1本しかないケーブルを用いる接続全般を言う.とは言ってもバナナコネクタ等ではよく"+"と"-"で2本ついになっていることがあるわけだが,要するにシールドという信号とは別の配線(俗にGNDなどと呼ばれるような基準信号みたいなもの)がない,すなわち信号そのものだけを接続する方式として"+"で1本"-"で1本ということなのだ. バナナケーブルはよく家庭用AV機器のAVR(リピータ・アンプ)とスピーカを接続する際に用いられる. PA機器周りではほとんど使われないが,稀に小型のパワーアンプ等に用いられる. ・アナログ音声信号とは 字のごとくケーブルの信号そのものの振幅が音そのものの波になる信号全般を指す.コネクタの種類がたくさんあるわけだが,レベルも用途もまちまちであり,各機器に合わせて選定しないといけない最もややこしい信号になる. アナログミキサーを扱う上では一番複雑で一番多用される信号なので後ほど信号レベル別に細かく見ていく. ・ディジタル音声信号とは アナログは波形の振幅がそのまま音の波として扱われると記述したわけだが,ディジタルは同じ電気信号でも扱い方が全く異なる.ディジタルも色々な方式があり端子が同じでも内部の信号形式が違うと全く通信が成り立たず音に変換されない.例えて言うなれば日本人とフランス人がお互いの公用語で話しても通じないということと同じだ.ここではあまり深く突っ込まずに方式名と端子の紹介をしておく程度にする. AES/EBU:業務用ミキサーでしばしば用いられるディジタル信号方式で,データ転送方式(信号プロトコル)としては後述にて出てくるS/PDIFとほぼ同一のものだ. S/PDIF:ディジタル音声方式の中で最近では最もメジャーな方式だが接続端子が2種類ある.1つはオプティカル(光)を用いた光ディジタル音声端子でもう1つはコアキシャル(同軸)を用いた同軸ディジタル音声端子だ.データ方式は全く同じだが,信号形態が光と同軸で異なるため,回路的に単純変換が出来ず相互の変換器があまり出回っていない.一時期,家庭用AV機にはオプティカル,民生機にはコアキシャルなどが多かったのだが,現状でも互いにメリット/デメリットがあり統一されていないのが現状. 一部では短距離ならコアキシャル,長距離ならオプティカルと分ける人もいるがミックスの世界では取り扱いがほとんど同等でつながる端子に合わせるのがベターだろう. 以上が信号についての解説とする. ややこしいかもしれないが,この段階で目が点になっている人は実機を触れながらもう一度読み直しておくことをお勧めする.ディジタルとアナログを間違えて挿してしまったり,単一導体のラインをGNDと挿したりすると異状を起こしたり最悪破損する恐れもある. 今度はアナログ信号をクローズアップして見ていこう. 信号内容は同じだが,レベルが異なると前述で述べた. PA屋の見かたとしては仕様書にしばしば記載されるインピーダンスを元に考えることになる. 入力部で最もややこしいのがこのインピーダンスだ. 出力機器のインピーダンスに合わせて中継機材やケーブル選定が必要になるので注意していただきたい. プロでも間違えて扱っているケースが多々あり,非常に難しい部分であるがミキサーを扱う場合に限らず電気,電子楽器を使う上では非常に重要なポイントなのでしっかりと押さえよう. 度々,楽器奏者によっては『そんなのPAに任せれば』と言う人がいるが,楽器の出口を管理できない人はいつになってもこだわりの音に決め手が付かないといっても過言ではない. アマチュアとプロの違いが大きく分かれる部分でもあるのでPAに興味がなくても覚えておいて損はない(いずれどこかで絶対覚える羽目になる) インピーダンスの考え方についてはダイレクトボックス(以後,DIと略す)の説明で前回記載しているのでここではフランクな表現で簡単に説明しておく. インピーダンスとは度々"抵抗"と表現されることがある. 電気の世界での抵抗はレジスタ(resistor)なわけだがインピーダンスは全くな別物であり特殊な機器でなければ計測すら出来ない. ここではそんな難しいことは抜きにして簡単に考えてもらうために例を表してみる. (以下,あくまでイメージ.正確な表現とはいえないので予めご了承願いたい) ここにバケツと水がある. 水を受けるバケツの許容量を入力インピーダンスとおき 蛇口から出る水の量を出力インピーダンスとしよう インピーダンスはしばしば600Ωインピーダンスとか10kΩインピーダンス等と書かれる. これを水に合わせてリットルと表現することとする. インピーダンスの考え方は出力インピーダンス(水の量)が入力インピーダンス(バケツの大きさ)を超えてはならない. バケツに水を入れると考えれば自ずとわかると思う. 受けるバケツが10kリットルなのに蛇口からでる水が15kリットルでは5kリットルは捨てることになってしまう(もったいない) 出来る限りぴったりの数字または入力インピーダンス(バケツの許容)を超えない程度に近い値で合わせるのが効率よく水をバケツに入れることができると想像できるだろうか? このように,インピーダンスは常に入力より出力が小さい値かつ,近い値で揃えなければ効率が悪くなってしまう. マイク(XLRコネクタ)を例にすると出力インピーダンスが約100~600Ω程度で入力インピーダンスは100Ω~10kΩだ. 非常にバラツキがあると思われるかもしれない. メーカーによって基準がバラバラなのは確か(ミキサーを例にすると入力がYAMAHAは3k,4kとかMackeyは2.5とか) そのバラツキを埋めるためにマイクプリアンプ(マイクの出力インピーダンス600Ω程度をラインレベル10k程度に持ちあげる機材)やアッテネータ(減衰器のことでDIなどで用いられるPADやミキサーなどにあるATTなどのスイッチもこの一種)を用いるなど音を入力する部分から非常に色々考えなければならないことがたくさんあるのだ. 長くなってしったが,インピーダンスについては以上. 後半へ続く~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 24, 2013 10:02:46 PM
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