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語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

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2005年02月03日
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見つかりにくいものですか。

いえ、それほどでもないと思う。
だけど、どんなに探しても
見つからなくて、ここ1ヵ月くらい
ずっと落ち着かない気分だった。

でも、きょう、ついに見つけた!
見つかった。諦めなかった。執念だった。
って、プロジェクトX調に熱く語りたい気分。
嬉しい。とっても。
行方不明だったのは、黒いダッフルコートである。

うっかりものの私は、今までいろんなものを
なくし落ち込んできたが、今回はコート。
しかも、自分のではなく、夫が大事にしていた
グローバーオールというブランドの上等なもの。
夫のものだから、私に責任はないように思われるが
容疑はすぐに私に向けられた。心外であったが
言われてみれば確かにあり得ること。
完全に白ではない。
自分のなくしものなら、一人で悩めばいいが
人のなくしものに自分が絡んでいるほうが却って
気が重かった。

約1ヵ月前、寒くなってきたので、いざ着ようと
クローゼットをさぐっていた夫が行方不明に
気づく。
去年の冬も活躍した。冬物のコート類は春先に
まとめてクリーニングに出したはず。
現に他の冬物はちゃんと戻ってきていた。
クリーニング店から取り忘れているのでは
半ば責めるような顔で言われて、慌てて店に
問い合わせるが「ないですねぇ」と素っ気ない返事。

ちょっと安心して(私のせいではないから)
今度は夫を責める。
飲んで帰った時に店かどこかに忘れたままでは?
それとも誰かの家?
そういえば、去年の冬、親戚の葬儀の日にも
着てたよね~。バタバタしてたから斎場かなぁ
なんていろいろと推理して問い合わせるが
収穫なし。
どうしても思い当たらないという。
まさか寒い日にコートを着忘れて帰ることは
あり得ないと断言する夫。
じゃあどこ?
この家のどこかにあるはず。
もしくはクリーニング店。
夫はそう言って譲らない。

そうなるとやっぱり私のせいとなる。
家には絶対にない。
クローゼット以外にコートをしまう場所なんて
ないもの。
ではやっぱりクリーニング店?

何度か店に出向き尋ねてみるが
店員は毎回違う人で「ないですねぇ」の一点ばり。
チェーン店だが割と大きめで
工場には出さずに、作業は全て店内で行うとのこと。
データもすでに消去されていた。
店にかかっている品を一点一点見ていく以外に方法は
ないという。
最初に行った時は、中年のおばさん店員が
「今ちょっと混み合ってますので、時間のあるときに
 見ておきます」との返事。
2回目に行った時は若い女性店員で
「あったら電話します」と笑顔で電話番号をメモ。
しかし、連絡はなかった。
3回目に行った時はほとんど諦めていた。
前とは別のおばさん店員が
15点出していたクリーニングを事務的に袋に
詰め、伝票と照らし合わせもせず渡そうとしたので
念のため「ほんとに15点あります?」と尋ね
数を確認してもらったら、なんと11点しかないでは
ないか。私がもし尋ねなかったら、4点が、うやむや
になるところだった。
まるっきり店を信用していた私だが
こんなことが起こり得るなら、コートの件も怪しい。
鬼の首をとったかのように
再度コートのことをおばさんに尋ねた。
どうか調べて下さいと、深々と頭を下げ
あったら電話してくださいと哀願した。
申し訳なさそうな顔をして、おばさんは
「わかりました」と力強く言ってくれたのだ。

しかし、何日たっても電話はなかった。
やっぱりコートはなかったんだ。
もう諦めよう。仕方ない。

そしてきょう、息子の手をひき
買い物帰りにその店の前を通りかかった時
なぜかまた足が向いてしまう。
今度は中年の男性店員だった。
そろそろ店じまいの時間である。
忙しそうにレジの集計をしている、眼鏡をかけた
人のよさそうな男の人。店長かもしれない。
思い切って、コートの話をする。
これで4回目だから、もしかしたら、しつこい客と
して話が伝わっているかもしれないと思ったのだが
彼の聞きぶりはどう見ても初めてという感じ。
気の毒そうな顔で、丁寧に話を聞いてくれた。
「ちょっと今、見てみましょう」
天井から吊されているビニールのかかった洋服を
手前から奥へ奥へと一点一点見てくれる。
約10分。
退屈し始めた息子が店の中を走り出し
カウンターをすりぬけて、レジをさわろうとし始め
私が大声を上げて息子を叱っていても
店員は無言のまま、店の奥へと移動して
ひたすら調べてくれている。

でも私は
そのうちどうせ「申し訳ありませんが…」
とかなんとか、頭かきかき出てくるに違いないと
思っていたのだ。
今までこれだけ尋ねても出てこなかったんだから。

ところが、男性はなんと黒いコートらしきものを
ぶらさげて戻ってきたではないか!
「これですかねぇ」
一目でわかった。グローバーオールの輝かしいタグ!
「これです!これですぅ!わ~ よかったぁ!!」
こんなに嬉しかったのは久しぶり。

男性店員はなんとも申し訳ない表情を浮かべていたが
この際、どうでもいいことだった。
この店員の仕事ぶりに文句はない。
とはいえ、これからもこの店を利用するか否かは
悩むところ。

でも今は、素直にうれしいのである。
何事も引き際が肝心だと思ってきた。
本来、諦めが早い私。
けれど、時には、執念を燃やして
決して諦めないこと、しつこいくらいに
食いついていかねば、掴めないものもある。
























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最終更新日  2005年02月04日 01時46分54秒
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