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テーマ:ニュース(100209)
カテゴリ:人物・哲学・リーダーシップ
史上最大規模の企業倒産なったワールドコムの元最高経営責任者(CEO)バーナード・エバーズは、証券詐欺などの有罪判決で25年間の禁固刑を言い渡された。 (関連記事) ■ 史上最大 110億ドルの証券詐欺 ワールドコムの破綻までの経緯をたどってみると、もともとは2002年のエバーズ氏にたいする4億ドルの不透明な融資が発覚し、2月からSECが調査を開始したことでワールドコムの株価は急落。エバーズ氏は4月に辞任した。 それから社内調査の結果、2001年から2002年の第一四半期にかけて、他の通信会社への回線使用料支払額(ラインコスト)の一部が経費勘定から資本勘定へ振るかえられている事実が発覚した。経費を資産計上しているだけの単純な会計操作なのだが、利益操作額はエンロンよりはるかに多かった。 ワールドコムは数々の買収をくりかえし業界2位の通信会社として急成長した。自前の通信ネットワーク(自社回線)を展開したのだが、ワールドコムに直接接続していない顧客に対しサービスを提供するには、他の通信会社に回線使用料を支払いアクセスを確保しなければならなかった。 99年頃から長期の回線リース契約を増加させたんだけども、ITバブルの崩壊で経営陣が期待したのほどの収入増加にはつながず、収入にしめるラインコスト比率が急上昇した。つまりそれは営業利益率(マージン)低下となり、ワールドコム経営陣は株価低下を懸念した。 そこで、サハリン元最高財務責任者(CFO)はマイヤーズ経理部長にラインコストを経費勘定から資本勘定に振り返る操作を指示した。この指示の背景には、エバーズ氏が不正会計をするよう指示がでたとサハリン氏は証言している。 結局この不正会計の指示が110億ドルの史上最大の粉飾決算につながった。 ■ エバーズのもたらした悪影響 この粉飾決算で多くの人に迷惑をかけた。 1万7000人ものリストラにあった元従業員。その一部の人は400kで退職金を失った。そして多額の損失をおった株主。 そして意外なのが、当時ワールドコムの競合会社だ。通信大手AT&Tの元CEO アームストロング氏は、2000年のワールドコムの好業績にAT&Tのトップは途方にくれた。ワールドコムの高利益率はAT&Tのそれと比べものにならなかった。 「ワールドコムは格安の通信料金で、高い利益率を維持していたのだ。僕ら経営陣は皆、どうしても理解することができなかった。」とアームストロングはいった。 ウォールストリートはワールドコムの業績と比べ、AT&Tの評価はとても低く株価は低迷。AT&Tはワールドコムの不正な数字をもとに意思決定しなければならなった。従業員の解雇、ワイヤレスとケーブル事業を手放した。 このことを考えると、アームストロング氏は株主とウォールストリートから相当のプレッシャーと戦っていたことがよくわかる。後にワールドコムの不正を知って、どれほど頭にきたか僕には想像できない。 ■ 人生は正直に誠実に生きるが一番の得策だ。 エバーズ氏はどうして不正会計を指示してしまったのだろうか?僕にはどうしても理解できない。創業から大企業に育て上げ、金にも困っていたとは思えない。 多くの人に迷惑をかけ、63歳にもなって25年間の禁固刑を受けることを考えれば、いかにアホな決断だったことがよくわかる。彼は今になって後悔しているかもしれない。 小さな偽りを繰り返していると、次第に大きな罪が生まれるのだろう。ほんとうに人生は正直に誠実に生きるが一番の得策だ。 「金なんて幸せを呼ばない」というゲッティの曾孫の言葉を思い出す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.07.15 15:48:53
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