【キリンと暮らす クジラと眠る】
キリンと暮らすクジラと眠るアクセル・ハッケ 作ミヒャエル・ゾーヴァ 絵ひとと動物たちとのパートナー学情緒あふれる博物学入門ハッケはちょっとひと休みして地球上の生き物たちへ目を向けてみたらとアドバイスしてくれたのじゃないでしょうか。現実と空想世界を行ったり来たりしながら、生き物たちと遊んでいるうちに、どことなくくすんで見えた私の日常も、みずみずしい色を取り戻してきたような気がします。 訳者あとがきよりおしゃれ犬プードルの我慢と本音は?人間が卵を食べてしまうことをニワトリが知ったら?ヒキガエルのイボイボは何を意味するのか?虐待されても人間に近づくゴキブリの不屈の精神とは?フラミンゴはスーパーモデルの生まれ変わり?キリンと星空を眺めたら? など・・・ぼくたちの心の奥にうず巻く、生き物たちへの素朴な、とても素朴な疑問。そして彼らのかくされた生活と意見。アカデミックな博物学に対して、『情緒あふれる博物学、繊細な感性によるハートフルな博物学をうちたててしまおう』という考えのもとに書かれた本彼はときに動物の身になって考える。拒まれても拒まれても人間に近づくことをやめないゴキブリに対しては、こう書いている。「それにしても、ゴキブリほど人間に近づこうと絶望的なまでの努力を試みてきた生き物が、ほかにいただろうか?そしてこの生き物が人間へかたむける愛、しかもあそこまですげなく、憎しみをこめて拒絶される片想いが、はたしてほかにあるだろうか?」「まさに破滅型の愛の典型といえるだろう」ゴキブリはともかくとして…キリンと一緒に暮らしたいなあ、とか、ゾウが犬くらいの大きさで、うちで飼えるようだったらいいなあ、とか。そんなことを一度でも考えたことのある人は、ぜひこの本をひらいてほしい。空想と現実のあいだで動物たちと遊ぶことの楽しみを、じゅうぶんに堪能させてくれる本である絵を見るだけでも、不思議な世界に引き込まれたような面白さがあり、さらに癒しの効果もある