カテゴリ:労働問題
千葉県君津市で特定社会保険労務士・特定行政書士をしております宮地辰彦です。
中央最低賃金審議会が、令和5年度地域別最低賃金改定額の目安を公表しました。 これによると、千葉県は現在の1時間当たり984円から41円アップの 1時間当たり1025円となり、過去最大の引き上げ額になると思います。 これを受けて千葉地方最低賃金審議会は、地域の特性等を踏まえて調査審議し、 一般からも広く意見を聴取し、 千葉県の令和5年度地域別最低賃金改定額を決定することになりますが、 例年、中央最低賃金審議会で示された目安と同額か数円の差程度で、 改定額が決定されていることから、 今年度も中央最低賃金審議会で示された1025円前後で決定されるものと思われます。 こうなると最低賃金付近の賃金で働いている人は賃金アップにつながりますが、 完全に賃金アップに連動するかというとそうでもなく、 年収103万円、106万円、130万円未満で働く、 という意思を持っている人にとっては、労働時間の短縮につながります。 試しに130万円未満(健康保険法上の扶養の範囲内 (特定適用事業所や満60歳以上の人を除く))でどのくらい変化するか調べたところ、 賞与や諸手当がなかったと仮定して、 現在の約110時間/月から、今後は月105時間/月が上限値になりそうです。 賞与があったり諸手当があったりする人はさらに労働時間が短くなります。 1人あたりの労働時間が短くなると、人手不足がさらに深刻になります。 最低賃金を引き上げることは労働者にとって好ましいことではありますが、 年収を気にしながら働いている人が一定数いる現状からすると、 最低賃金を引き上げると同時にいわゆる「年収の壁」も修正していかないと、 人手不足が深刻になります。 もしかしたら「年収の壁」についても議論はしているのかもしれませんが、 少なくともどのような方向性で議論を進めている、といったことは伝わってきていません。 最低賃金が過去最大の引き上げ額で改定されると、中小零細企業の中には、 支払能力の点で困難を極める事業所も出てくると思います。 最低賃金が改定される今秋までに何か政策が出てくることに期待したいと思いますが、 その望みは薄そうな気がしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.07.29 21:24:45
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