イタリアンジュエリーからヴィクトリアンジュエリーへ

2007年05月25日

イタリアンジュエリーからヴィクトリアンジュエリーへ

今日のジュエリーはViViANiの定番とも言えるアンティークスタイルジュエリーです。
そしてこのリングには色々、プロでなければ解らない隠し味が仕込んであるのですね。

まぁ、誰が見ても「繊細」で「美しい」とは思いますが、何故、人がそう感じるのか?
何故そう見えるか?についてはプロでない限りは普通は考えません。しかし、人にそう
「感じさせる」何かがそこになくては誰も「美しい」とは逆に感じることはない筈です。
その部分への「手の入れよう」が良いジュエリーとそうでないものとの「差」になるのでね。
良いジュエリーは小さな所への「配慮」の積み上げが実にたくさんあります。反対に
そうでないものは見栄えのする箇所にだけ消費者の目が行くように作ってあります。

さて、この控えめで上品なリングの美しさとは、まず最初に誰でも分かる部分としては、
アンティークジュエリー定番のテクニック「ミル打ち」の繊細な金細工ですね。
しかし、このリングは表面だけに留まらずサイドからさらに裏側に至るまで微細に施されて
います。確かにこれは大きなこのリングの「美」のひとつです。

しかし後二つ、「石のセッティング」と「装着感」に関してデザイナーの相当な
思い入れが見て取れる箇所があるのですね。不思議なもので実物を前に接客を
していれば、たとえお客様が前述のふたつを理解されていなくても「感覚」としては
「理解」してくれる場合が多いのです。
やはり本物の良さは実物を手に取れば分かりますから。

まずデザイナーの一つ目のこだわりは、ヘッド部分とリングアームの境目に
ミル打ちはもちろんダイヤを円形に配してセッティングしているところです。これは
なかなか写真では分からない点ですが、実物はこれがあるかないかで格段に
「重厚感」が違うのですね。写真のリングはホワイトゴールド版ですが、ブラック
ロジュウムにしたときに、ひときわデザイナーの意図した事が分かるのです。

二つ目のこだわりは「装着感」です。このリングはデザイナーが女性なのでやはり女性
ならではのフィット感への配慮が伺えます。それはリングアーム(リングの輪)の内側に
着けられた板バネのような「第二のアーム」なのです。これは洋服に例えるならば
パンツにたいするベルトのような役割です。適度にフィット感を増し、リングが回ったり
前後にずれるのを防いでくれるのですね。やっぱり、これだけは実際につけなければ
その違いが分からないことですが・・・。

今日の宝石版「美のツボ」お分かり頂けたでしょうか?
良い宝石の価格が高い理由は、そのジュエリーの原材料費とは別の部分に
たくさんの人の手が注ぎこまれているためなのですね。でもこれが本来の手工芸品と
してのジュエリーであり、これを否定した「安ければ良い」という昨今のジュエリーの
粗雑な作り方は宝飾品の本質から逸脱していると思うのですが・・・。

イタリアンジュエリーリング