イタリアンジュエリーのエナメル技術

2007年06月01日

日本人にはどうしてもエナメルジュエリーが高いという認識があります。
ダイヤモンドは価値があってエナメルは釉薬なのだから安いという考え方ですね。
しかし同じ釉薬を使った「陶磁器」でも「家庭用の食器」と「有名窯の陶器」の違いは
私たち日本人も認めていますよね。ヨーロッパのジュエリーはこれと同じ事なのです。
とくにエナメルジュエリーのような手工芸品は「美しさ」が価格を決定するもので
材料費が価格を決めるものではないのです。
それにエナメルの技術も大変奥が深いものなのですよ。今日は簡単ですが、少し
エナメル技法についてお話することにしましょう。

(1)Rond Bosse
金の表面全体にエナメルで彩色する技法。

(2)Basse Taile
金の彫りの上にエナメルの透明性を生かして彩色し透明感のある彫りを浮かばせる。

(3)Paint Enamel
金の表面に一度、単色のエナメルを下地として彩色し、改めてその表面に極細の筆を
使って絵画を細密画として描く技法。下の写真のNo.1から5までの技法です。
またNo.1から4までは著名エナメル作家の手によるものでさらに価格が変わります。

(4)Shampleve
金に彫り込みの溝の線を入れ、その中をエナメル埋めていく技法。

(5)Cloisonne
金の表面に金線で図柄を作り、その金の輪郭線の中にエナメルを埋めていく技法。

(6)Plique a jour
いわゆる透過エナメル。最初にジュエリーの金の型枠を作り、次に型枠の表側に薄い
「箔」を貼り付け蓋をします。次に穴の開いた裏側から一色ずつエナメルを施し、最後に
表側の箔を薬品処理で除去してステンドグラスのような光を通すジュエリーの製作技法。
この技法は非常に美しいがもろく、また製作過程での失敗も多いため高価になるのです。

イタリアンジュエリーエナメル