重く、大きく、逞しく
何故にその石に惹かれるか。答えは簡単かつシンプルです。だってKURO水晶なんだもん(笑)。……というわけで、ブラジルの黒水晶・モリオンです。黒水晶が好き~といいながら、ブラジル・モリオンの原石がまともに登場していませんでした。ブラジルはバイア州の産です。私が知る限り、かなり前からモリオンの産地として知られ、その大きさ、産出する量からいっても、モリオンと言えば、ここのこれという代名詞と言っても過言ではありません。今でこそカザフスタンなど各地でまっ黒なモリオンが産出し、ブラジルのモリオンは産出量が減っているといっても、知名度からいえば、まだまだモリオンの中では有名でしょう。この産地のモリオンは、ひときわつや消し、ざらざらワイルド、柱面が発達していないずんぐりとしたフォルムが特徴です。そのためモリオンとは、普通の水晶と色だけでなく形も違う、それこそがモリオンなんだとするところもあるくらいです。事実、この石を買ったお店では、モリオンはこういう(柱面の発達していない)形の水晶で、本物の黒水晶はブラジルにしかないと言われました。さらに、この石が発見された当初は、整ったソロバン型で、漆黒の結晶が見られたのだそうです。かくいう私も、(天然)黒水晶の最初の出会いはこの産地の石でした。(黒いだけなら人工黒水晶の方が先です)モリオンはタフでワイルドなゴツいやつ、というイメージは、このタイプのモリオンがルーツであることは確かです。しかし、モリオンがここでしか産出しない、モリオンは柱面が発達していないものだという節には残念ながら賛成しかねます。カザフスタンをはじめ、柱面が発達したモリオンは多く見られるからです。また、きわめて濃色のスモーキー=モリオンかどうかという点についても、「個人的にはイコールではないと思っている」と言っておきましょう。なぜならば、スモーキーとモリオンを区別する明確な基準はありませんし、「イコールではない」と思っている私にも、区別を付けかねる石も多いからです。けれど、それでもなおモリオンは濃色スモーキーとは違う、と言いたいです。それは「自分の中に石の基準を持つ」というモットーがあるからです。昨今、石屋さんの数が増え、お店ごとに石についていろいろな説明がなされています。ここで「自分の基準」を持っていないと、「A店ではこう言ってるけど、B店ではこう言っている。どっちが本当?」……ということになります。鉱物学的なことなら、調べていけば何とか白黒付けられますが、パワーだの意味だのということになると、真偽のほどはわかりません。「自分の基準を持つ」と言うことは、わからなければ調べる、自分が納得できる形で頭に入れる……ということです。石のパワーや意味については、元をたどれば何らかの理由やきっかけを元にどこかの誰かが言いだしたもの。まるで伝言ゲームのように変化し、広がっていった末端の意見を追いかけてみたところで、わけがわからなくなるだけです。そんなものに振り回されるくらいなら、肥大したイメージをはぎ取り、イメージの源泉である石を、じっくり眺めて見た方が、ある意味「本質」に迫れるのではないでしょうか。