超弩級アクション･エンタテインメント巨編
トゥルーライズ
TRUE LIES
1994年 アメリカ 144分
■監督 ジェームズ･キャメロン
■出演 アーノルド･シュワルツェネッガー、ジェイミー･リー･カーティス
トム･アーノルド、ビル･パクストン、チャールトン･ヘストン
ターミネーターの怪演で一躍時の人となり
日本でも日進カップヌードルのCMで お茶の間の人気者となった
アーノルド･シュワルツネッガーは
ボディービルダー出身の肉体派俳優として 90年代に活躍した
ハリウッド・アクションスターです
最近は親友のシルベスター･スタローンとの共演作が続き
『エクスペンダブルズ』 の次回作では
スティーブン・セガールが悪役で出演の噂もあり
更には自身の出世作となった 『ターミネーター』 新作出演など
話題に事描くこと無く
映画界復帰後の 復活を印象づける活動が目立ちます
今回は 『ターミネーター2』 出演後
最も成功した アクションエンタテインメント超大作の
『トゥルーライズ』をご紹介します
- STORY -
秘密機関オメガ･セクターの凄腕諜報員ハリー･タスカーの悩みは、
妻ヘレンが浮気しているかもしれないという事。
職権乱用で妻の調査を行うハリーだが、
ヘレンと共に、核武装したテロリストに捕らえられてしまう……。
- 解説 -
本作は
『ターミネーター2』の成功後 再びシュワルツネッガーとタッグを組み
これまでのシリアス路線から コメディー色を加えて新境地を開いた
『タイタニック』『アバター』のジェームズ･キャメロン監督の
大ヒットアクションエンタテインメント映画です
ジェームズ･キャメロン作品中
異色のコメディー･タッチのアクション映画として話題になりましたが
ジェームズ･キャメロンが一貫して描いてきた
『生きる事の喜び』 が 本作でも重要なテーマとして生きており
内容はいつものジェームズ･キャメロンらしい
怒涛のアクション映画の造りになっております
シュワルツネッガーの重量感ある 息をも付かせない
超弩級なアクション場面が最大の見せ場ではありますが
主人公ハリー･タスカーの妻役の ジェイミー･リー･カーティス演じる
若い日の夢を記憶の忘却の彼方に置いて
平凡な家庭で繰り返される日々を送る ごく平凡な主婦が
焦燥感の中で『生きている実感』を得たいと感じる願望が
ささやかな浮気が発端となり、 諜報活動の手助けをする事に発展した事で
図らずしもその夢が叶う という所に、女性映画という側面を見る事が出来
本作の 真のテーマがある様に感じられます
この映画は 仕事人間の堅物だったと思われた夫に
スパイという裏の顔があるという
女房 姑に頭が上がらない 昼行灯の八丁堀が
仕事人という裏稼業を持つ 日本のドラマでのおなじみの
『必殺』 と同じタイプの作品であり
シュワルツネッガーが主演したSF超大作 (90)『トータル･リコール』や
アクション･エンタテインメント巨編 (93)『ラスト･アクション･ヒーロー』の
願望を叶える夢を与えるという内容を
女性の立場から捉えた作品であると言えるのでしょう
又、これまでの上記の様なタイプの作品の傾向が
主人公の身の上を あくまで家族や知人に秘密にし
内容も 実生活とは切り離された所で描かれた
ファンタジーの要素が大きかった点に対して
コメディーの要素が大きいながらも
主人公の正体が家族にも知る所となった事で
それまで心が離れバラバラだった家族に一体感が生まれ
絆が深まるという描き方をしております
ハリウッドエンタテインメント作品は
それ自体が現実を忘れさせ 魅力的なひとときを与えてくれる
主人公に自分自身を投影させ 願望を叶える
ささやかで愉しいイベントであると言えますが
本作のシュワルツネッガーが 家族に正体を明かすのも
自分の隠された面が自分の一部である以上
それを最も親しい人達に曝け出せない限り
本当の絆は生まれないし 真の意味で願望も叶わないという
エンタテインメント作品に 逆に人の人生を投影させた
製作者からのメッセージを感じ
実にジェームズ･キャメロンらしい切り口の
エンタテインメント作品に仕上がっていると思いました
- 低予算映画を撮りたかったキャメロン監督 -
作品を作るたび 映画史上最高額の制作費をつぎ込む事で有名な
キャメロン作品ですが
本作も当時にして最高額の 120億円の巨費をつぎ込んで作られ
話題になりました
しかし実際は もっと手頃で小さなプロダクションで
ドラマ作品を撮る予定だったと聞きます
それが史上最高額の超大作に肥大化したのは様々な経緯がありますが
原作者と契約で揉めて降りてしまった作品や
50億掛けて25億しか儲からなかった(95)『ショーガール』
100億掛けて10億しか儲からなかった(95)『カットスロート・アイランド』
などの興行的な失敗で
大手制作会社 カロルコの倒産の煽りを食って白紙になった
後に3部作が大ヒットした とある蜘蛛的なヒーロモノ など、
版権、配給、契約費に巨費をつぎ込んだ企画が 次々と倒れた事で
20世紀フォックスが怒り出した事で
早急な企画を要求される事になりました
そんなある時
シュワルツネッガーが持ってきた フランスのスパイ･コメディー映画を
キャメロンが痛く気に入り、そのリメイク作が 『トゥルーライズ』となり
こうしてキャメロンの目指す 手頃な小さなプロダクションが開始されるのです
しかしいざ撮影が始まると 現場での変更につぐ変更で
組み上げた撮影セットを一旦崩して キャメロンの修正に従って
再び組み上げるという 予定外の作業が重なり
当初の撮影スケジュールも大幅に延長されて行きます
又、アクションシーンで使用された ハリヤー実機を空軍からレンタルし
条件をクリアして無料で貸出して貰ったのは良いとしても
巨額の燃料費や、道路着陸の巨額な高熱対策など
予想外の膨大な維持費が発生したり
マイアミビルの屋上にハリヤーの原寸模型を吊るし 出演陣に演じさせる
映画史に残る様な 強行陣な撮影が次々と続き
それにつれ制作費も 当初の予定を大幅に超える
1億1千5百万ドルもの 巨大プロダクションに 膨らみ上がり
かくしてキャメロンの目指した小さなプロダクションはこうして
映画の記録を更新する 超大作として生まれ変わった事で
大きな挫折を迎えるのでしたｗ
- ミスター超大作 チャールトン･ヘストンの出演 -
眼帯を付けたミステリアスな人物、トリルビーを
名優 チャールトン・ヘストンが演じ 話題になりました
(56)『十戎』のモーゼ役や (58)『ベン･ハー』
の主演でオスカーに輝き 名実ともにトップスターとなり
(69)『猿の惑星』の様なSF作の出演や
(75)『大地震』『エアポート75』などのパニック映画など
ハリウッド超大作映画の主演が相次ぐ
『ミスター超大作』と呼ぶべき大スターでした
主にアクションをこなす 肉体派俳優として活躍し
精悍なルックスは アーノルド･シュワルツェネッガーと
似ていたとも言えるかもしれません
本作はそんな新旧肉体派スターの共演が実現した作品となりました
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Blu-ray化にあたり
玄田哲章氏吹き替えのフジテレビ放送版のカット部分が
2012年に同一声優で追加録音されましたが
ジェームズ・キャメロン多忙の為
(※アバター続編制作) 許可が下りず
未だBlu-ray化されておりません・・・
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