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あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2007年02月04日
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カテゴリ:
花を届けに度々訪れる都内某所のとあるビル
そのビルには、荷物の搬入専用のエレベーターがある
交通量が激しい表通りから、車の行き来ができない程の狭い道を進んでいくと、ビルの裏手に搬入口がある
一見すると1階なのだが、表通りからすると少し小高い所にあるので、搬入口は中2階扱いになる
その中2階と、地下1階を結ぶエレベーター
自分は花を抱えて、エレベーターに乗り込んだ
目的の階の1階のボタンを押す
使用している業者が乱暴に扱うのか、エレベーター内は傷だらけで、尚且つ薄汚れているので薄気味悪い
エレベーターはゆっくりと下降していく
エレベーターの現在位置が1階を示した
しかしエレベーターは止まらず、そのまま下降していく…
自分は慌てず騒がず、そのまま乗っていた

驚く男初めてこのエレベーターに乗った時、降りたい階で止まらないので、“故障でもしたか?”とか、“透明人間が一緒に乗り込んで、自分より先に地下のボタン押したか?”と、それは一人で驚いた
が、このビルを訪れてエレベーターを乗ると、きまって必ず同じ現象が起きるので、今ではそれが当たり前のように思うようになった

自分が降りる1階を通り過ぎていったエレベーターは、終点の地下1階まで降りた
が、ここで扉が開くわけではない
自分が押した『1』のボタンは光ったままである
間もなく、エレベーターは上昇し、1階に到着すると扉が開き、ようやく自分はエレベーターから解放される
そう、このエレベーターは、なぜかスムーズに1階で降ろしてくれないのである

花のお届けを終えて、エレベーターを呼ぶ
乗り込むと、搬入口に戻る為に中2階のボタンを押した
スムーズに中2階に上昇してくれるかと思いきや、このエレベーターは期待を裏切らない
なぜか、真逆の地下1階に下降し、そこから中2階に上昇していくのである
この不可思議な現象、どう説明してくれようか?

この話をすると、自分以外にはそのビルに配達に行ったことがないので、他のスタッフ達は全く信用しない
しかし、仕事を教えるために新人と一緒に配達に出かけ、そのビルに花を届けに行くと、やはりエレベーターはおかしな運行をし、自分以外の証人が出来たことで、奇妙なエレベーターは自分の作り話ではなく、現実のものとなった

そして今日、配達に出る予定だったスタッフが風邪で急遽休むことになり、自分が配達に出ることになった
花の届け先の中には、またしてもあの問題のエレベーターがあるビルが含まれている
自分は責任ある立場を置く身なので、あまり外に出ないように言われているので、滅多に配達に出ることはないのだが、配達と言うと、なぜかそのビルに花を届けに行くことが多い

ビルの搬入口に車を停め、花を抱えてエレベーターの呼び出しボタンを押した
が、いくら待っても1階で停まっているようで、一向に上がってくる気配がない
“誰か使っているのだろうか?”
待っていても仕方ないので、遠回りになるが階段を使って1階へと降りた
配達を終えて、エレベーターホールの前を通ると、エレベーターは1階で待機中のようで、固く扉を閉ざしていた
そのまま階段で搬入口まで戻り、何気なくエレベーターに目をやると、呼び出しボタンが光ったままになっていた
他に納品にきている業者も無く、その呼び出しボタンは間違いなく、さっき自分が押したものである
しかし、エレベーターは、誰が使っているわけでもなく、1階に待機中のまま
自分は呼んだのに、乗せること拒否したんか?
タクシーの乗車拒否は聞いたことあるけれど、エレベーターの乗車拒否なんて聞いたことがない
どうやら自分と、このエレベーターとは相性がよくないようだ
次からは、このビルに限っては、エレベーターは使用せずに階段を使うことにしよう







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最終更新日  2007年02月09日 16時53分36秒
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