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あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2008年01月07日
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カテゴリ:
今日は病院の通院日
しかし、仕事の都合上休みをとることができなかったので、比較的手が空いている午前中に、職場を離れて病院へと向かった

一般の病院は、患者さんが多いし、診察の進行具合が判らないので、どれだけ待たされるか時間が読めない
でも、自分が通院している病院の診察は完全予約制なので、長い時間待たされることがないのだ
いつもなら診察と血液検査で終わるので、正味30分程で帰ることができるが、今日は腹部のエコー検査があるとのこと
早く職場に戻れると思っていた自分は、少々出鼻を挫かれたが、案内がされるままに病院の方の後についていった

【超音波検査・エコー検査】
超音波を対象物に当ててその反響を映像化することで、対象物の内部の状態を非破壊的に調査することのできる画像検査法の一種
(辞書調べ)

超音波と聞くと、なんだか物凄く不安を覚えるが、甲状腺の病気のときに、咽頭部のエコー検査をしたことがあるので、検査の方法は大体わかっているつもりでいた
それでも病院という独特の雰囲気の中に身を置いているというだけで、不安感に苛まれ、どこか落ち着くことができない
案内された部屋に入ると、そこには診察ベッドと、普段生活している分にはまず見ることのない、何やら大きな機材が沢山並んでいた
なんとも寝心地の悪そうな薄くて硬い診察ベッドに横たわる
シャツをまくり、腹部を曝け出すと、検査技師の方がゼリー状のローションのようなものを露になった腹部に万遍なく塗りたくった
くすぐったいような、気持ち悪いような、変な気分である

程なくして、検査は始まった
検査技師の方の「息を吸って、吐いて」の声に合わせて呼吸をしていく
その間、検査技師の方は、映っている映像を確認しながら、自分の下腹部やわき腹の部分を棒状のようなもので、グリグリと押さえていく
これで、自分の内臓の状態がわかるというのだから、医学の進歩は実に素晴らしい
自分の身体の内部がどうなっているのか気になったので、映し出されている画面を見ようとしたのだが、丁度自分の眼と画面のモニターが平行の位置にあるので、体内の映像を伺いしることはできなかった

ガラスの魚検査が進んでいくと、呼吸の仕方も変わってきた
「大きく息を吸い込んで…もっと吸い込んで…ハイ、息を止めて」
これでもかと大きく息を吸い込んで止めて、吐き出すの繰り返しのパターン
その呼吸方法を何回か繰り返した時だった
検査技師の方に言われるがままに、大きく息を吸い込んで、息を止めていた
呼吸を止めている状態でただでさえ苦しいのに、鳩尾の辺りを器材で強く押された
「うっ……」
息と声が漏れそうになるのを必死に堪える
そろそろ息を吐き出していいOKサインが出る筈なのだが、なかなかそれが出ない
長く呼吸を止めているだけでも辛いのに、鳩尾を幾度となく圧迫されて、かなり辛い
顔面は紅潮して、身体がごくごく僅かだが小刻みに震え始めていた
(まだ呼吸したらアカンの?)
なにぶん検査中のことで、勝手に息を吐き出して検査に支障をきたしたらマズイと思い、とにかく我慢するしかない
自分は、俎板の鯉ならぬ俎板の男となって、されるがまま、ただただベッドの上で必死に堪えていた

ようやく検査技師の方の口が開いた
「ハイ、大きく息を吸い込んで」
!?!?!?!?!?
大きく息を吸い込めるだけ吸い込んで呼吸を止めた状態で今までいたのに、呼吸を吐かずに、さらに息を吸い込むの?
これって拷問!?
さすがに呼吸を吐かないと、新たな息を吸い込むことはできないので、検査技師の方に気づかれぬように息を吐くと、また吸い込んだ
「ハイ、止めて」
ふたたび鳩尾のあたりを激しく圧迫される
案の定、今回も息を吐くお許しがなかなか出ない
(やっぱり、これは拷問だ)

このままじゃ窒息するよッ!
でも、息を吐いて…って言ってくれないから、タイミングが判らず、呼吸することができない
ただ単に、検査技師の方が“息を吐いて”って言い忘れているだけ?
どうなの?
検査が終わって、ようやく解放されたときは、呼吸は乱れ、グッタリとしているのであった


【俎板の鯉】
他人の意のままになる以外に方法のない状態
(辞書調べ)







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最終更新日  2008年01月15日 11時49分22秒
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