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カテゴリ:愛
東北岩手を拠点とし、東北の風土・郷土からインスピレーションした楽曲で独自の世界観を展開しているアーティスト、姫神 (ヒメカミ)
その出会いは、今から20年近くもまえになるだろうか? テレビドラマのテーマ曲として使用されていたメロディーを耳にしたとき、ものすごく魂を揺さぶられるものを感じた なんというか、旋律の中に古き良き時代の日本の原風景が広がっていて、懐かしさがあり、不思議と心が休まるのである それまでは、あまり音楽には興味がなかったのだが、すっかり姫神の虜に 初めて買ったCDも、初めて行ったコンサートも“姫神” ファンというほどのめり込んではいなかったが、リリースされるCDはすべて購入した しかし、時が経つにつれ、姫神のアーティストである星吉昭氏の音楽性が徐々に変わっていき、昔ほどまでは聴かなくなってしまった 出されるアルバムも、期待というよりは、なかば惰性にも似た、ただ聴いていただけのように思える そして2004年、星吉昭氏が死去 これで姫神の歴史に幕が降ろされるかと思ったのだが、吉昭氏の長男である星吉紀氏が姫神を継承 2008年4月、約3年半ぶりに、姫神としては23枚目のアルバムであり、また新生姫神としては初のアルバムとなる『天∴日高見乃國』がリリースされた そのアルバムを、自分は発売初日に買い求めた この日を待ちわびていた…というと嘘になるかもしれないが、心待ちにしていたことも、また事実である アーティストの死によって、自分のなかで終止符を打つつもりだったのが、それが継承されるということで、僅かばかりの期待と、裏切られるのでは?という不安が混ざった複雑な気持ちで聴いた 結果として、新生姫神は、先代の世界観を見事に継承したように思えた 華道や茶道といった世界だけでなく、音楽もまた継承することができるのだということを実感させられた そんな新生姫神が、『天∴日高見乃國』のアルバム発売を記念して、リリースコンサートを開くというので、品川プリンスホテル内にある、ステラボールへと出向いた 新発売のアルバムのリリースコンサートということで、曲目は、『天∴日高見乃國』に収録されている全曲と、先代が作曲した作品のなかから数曲をチョイスした構成 自分のお気に入りの曲はあまりなかったが、それでも、やはり胸は高鳴る 姫神の核ともいうべきシンセサイザーに、ヴァイオリン、チェロ、津軽三味線、山口太鼓、そして姫神ヴォイスという女性2人のコーラスの編成 それぞれがバラバラの衣装なので、揃えればいいのに…なんて思いながら、コンサートは始まった う~ん…やっぱり生の演奏はいいねぇ って、これ生か? いつもCDで聴いているときと同じだから、なんだか変な感じ 姫神の曲の合間合間には、メンバー紹介も兼ねて、それぞれの楽器の奏者の単独演奏が組み込まれていた “姫神のコンサート来たのに?” なんて言うのは野暮か それぞれのアーティストの方々は、それぞれ魅力があってよかった 特に、ヴァイオリンとチェロの演奏には惹かれたかな それにしても、星吉紀氏、演奏中はあんまり目立っていなかった それぞれの奏者の方は見せ場というか、魅せる演奏をしているから目がいくのだが、シンセサイザーを魅せる弾き方がないからかもしれないが、すごくおとなしい印象 演奏中よりも、曲の合間合間の朴訥としたMCのほうが印象に残っている コンサートは、アンコールを含めて全18曲 先代が作曲したものをそのまま聞きたかった自分としては、アレンジが加えられていたのが残念 囁きかけるようなスローなテンポの曲も多かったので、途中眠気に襲われたりしたが、後半には手拍子なんかもでて盛り上がり、それなりに楽しめる内容だった 芸の伝承って難しいと思う そのまま真似ていることは簡単かもしれないが、守ることはできても進歩は望めない かといって、大胆に仕掛ければ、それはそれで築き上げてきたものを失いかねない 姫神という名を継承した星吉紀氏には、様々なプレッシャーやジレンマが圧し掛かっていることだろう 先代が遺していった旋律が好きな自分としては、もう以前のような熱をあげることはないだろうが、新生姫神が、これからどういった展開を見せていくのか楽しみであり、また不安でもあるのだった 【姫神 『天∴日高見乃國』リリース・スペシャル・コンサート~円らかなる響き~】 1…千年の祈り 2…愛を越えて 3…真白幾笛 4…深山ノ夕霧 5…悠久の華 6…火振り神事 7…大地燃ゆ 8…十三の春 9…天の空~日高見徴 10…日高見山嶺 11…壮麗詩~大地の祈り 12…日高見の暁 13…神々の詩 14…天∴日高まつり 15…常葉の杜 16…風日ノ御路 アンコール1…浄土悠遠 アンコール2…水火の天弓 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月21日 12時02分02秒
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