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カテゴリ:人
ある職場に一人の男性がいました
妻子持ちの三十代半ばのその男性は、暇さえあれば、愚痴をこぼしていました 「疲れたぁ」 「身体がダルい」 「腰が痛い」 「休みが少ない」 「給料が安い」 口を開いたかと思えば、不平不満ばかり 愚痴を言うのは構いません 誰しもが一つや二つは、腹に抱えていることでしょう しかしながら、この男性、自分のことを棚に上げて文句ばかり言っているからタチが悪い 手や身体を動かさずに、口ばかり動かしています 自分のやるべきこともやらないで、ウダウダ言うもんだから、周囲の人々はすっかり辟易してしまい、その男性のことを見下すようになってしまいました その男性にはお子さんがいます 夫婦共働きをしているので、保育園に預けているのですが、熱を出したり、体調を崩すと、夫婦のどちらかが迎えにいかなくてはなりません 「子供が熱を出したので、迎えに来てほしいと保育園から連絡がありました」 そう言われると、ダメとはいえないので、早退させます しかしながら、ここ最近、 「子供が…」 と理由をつけては、早退することが多くなってきました 自分は子供がいないので、親御さんの気持ちは判りませんので、理解しようと思いつつも、こうも度重なって早退されてしまうと、困ってしまいます 折りしも、周囲の人間も似たようなことを思っているのか、 「嘘ついていますヨ」 なんて言いだす始末 常日頃から、仕事の手を抜いて愚痴ばかりこぼしているから、信用がまったく無く、仕事をサボる口実としてそんな風に思われてしまうのでしょう 人間、信用・信頼を築き上げるのは大変なことですが、それを失うのはいとも簡単なものです そんな状況にあるので、男性は周囲からすっかり浮いた存在となってしまいました それを肌身に感じているのか、男性はますます卑屈になってきています 普通に振舞っていれば、こんな状況に追い込まれることはなかったでしょう 自分の信用を失墜させるようなことばかり繰り返してきたから、こうなってしまったのです なので、日ごろの行いからして、本当の事を言っていたとしても、嘘と思われてしまうのです 今日も男性は早退を申し込んできました 『子供が病気に…』 信じなければならないのでしょうが、とうとう、自分のなかにも小さな小さな疑念が生じてきてしまいました 本当に病気なのかもしれない と思いつつも、嘘を言っているのかもしれない…と疑ってしまう自分 そんな自分が悲しいです イソップ寓話に『嘘をつく子供』という作品がある 羊飼いの少年が、退屈しのぎに「狼が出た!」と嘘をついて繰り返し騒ぎを起こして大人たちを騙し、本当に狼が現れたときは誰にも信用してもらえずに、羊はすべて狼に食べられてしまうという話 人は嘘をつき続けていると、信じて貰えなくなってしまう 常日頃から正直に生活する事で、いざという時に周囲から信頼と助けを得ることができる、というのがこの作品から学べる教訓 イソップ寓話『嘘をつく子供』に似たところがある、今回の男性のお話 寓話では、誰にも信じてもらえずに、悲劇的な結末を迎えて終えているが、果たしてこの話はどういった結末を迎えるのだろうか? 信頼を取り戻すべく、奮起して頑張るか それともこのまま尻尾を巻いて逃げ出すか その結末は、誰にもわからない… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年08月23日 18時24分24秒
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