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カテゴリ:感
自分のなかには、さまざまな記憶が静かに眠っている
それらは、ふとしたことで記憶の扉をこじ開けて、表へと顔を出してくる 音、匂い、人、言葉、風景、シチュエーション… 記憶が思い返されるきっかけは、さまざま そしてその度に、インプットされている記憶に一喜一憂させられる 流行歌を聴くと、その当時の思い出が… タバコの煙とコーヒーの混じった吐息は、ちょっと生意気だった後輩 マダガスカルジャスミンの花は、お世話になった方の壮絶な最期 自分の首筋に残る真一文字の傷跡は、辛かった闘病の証 布団叩きのパンパン叩く音を聞くと、暴力ばかり振るっていた父親の姿が蘇ってくる 水溜りに映るのは、幼い頃に足が血だらけになって大怪我したときのこと 中華料理の八宝菜は、小学校の給食で一番嫌いだったメニューなだけに、今でも見ると、一人教室に残って無理やり食べていたことが鮮烈に思い出される そして夜の海… 見ていると吸い込まれそうになる漆黒の海には忌まわしい記憶が漂っている それは、若い頃に船旅に出たときの出来事が絡んでいる 深夜のデッキで夜風に当たっていると、自分の隣に立っていた女性が海に飛び込んで自殺を図ったのである その衝撃、あの激しい飛沫の音は今でも耳から離れない 今挙げたのは、どれもこれも鮮烈に残っている記憶ばかりだが、普段生活していると、いたるところで記憶の扉を開けるキーワードがたくさん潜んでいる 夕陽を見ればノスタルジーになるし、仲睦まじい高校生のカップルを見かけると、甘酸っぱい記憶が蘇ってくる 人間って、これほど過去の記憶に囚われながら生きるものなのだろうか? そんな風に思えてくるほど、自分は過去と現在をリンクさせていることが多い どれだけ生きることができるか知る由もないが、長く生きれば生きるほど、思い出や記憶は増えていくことだろう そうなると、今以上に、過去と現在の世界を交錯するに違いない 『昔はよかった…』 そんなセリフを、老いた自分は口癖のように吐いているにちがいない それでも構わないと思うし、いたしかたのない事なのだと思う それは、今まで自分が歩んできた道なのだから ただ、あまりにも記憶や過去に囚われすぎて、過去にすがって現実から目を背けぬよう、過去に溺れて現実から逃げ出さぬよう、過去に惑わされて自分を見失わぬよう、記憶とは上手に付き合っていきたい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月16日 06時44分29秒
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