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テーマ:東京 / 江戸(1183)
カテゴリ:景
浅草寺西側一帯は通称“奥山”と親しまれ、江戸時代から大道芸や見せ物小屋が並び、盛り場浅草発祥の地でありました
(ガイドブックより) 提灯が並ぶ大木戸をくぐると、そこには江戸の町並みが広がっていた さすがに、行き交う人々が現代の装いなので、江戸時代にタイムスリップしたとまではいわないが、江戸時代の町並みのなかを歩いていると、なんだか、時代劇の撮影所に迷い込んだような錯覚に陥る 浅草寺の西側一帯は、 「浅草奥山風景」と題して、江戸の町並みを再現していて、茶店や、江戸小物などを扱う店など60店余り並んでいる 市松人形、羽子板、江戸銀器、鼈甲、組み紐、飴細工、ほうき、手拭いなど、どの店を覗いても、伝統と業が光っている 店によっては、実演を拝見することができ、江戸切子では、綺麗な色のガラスをカッティングして模様を入れる作業、提灯屋では、提灯に名を入れるところなど、普段では決して見ることができない伝統の技を間近で楽しむことができた しかしながら、どれもこれもさすがは伝統文化・伝統工芸とあって、値段が張る 手間隙かけた職人の方々の熟練のなせる業ということを考えたら当然なのかもしれないが、如何せん財布の紐が固い自分としては、手が伸びない とはいえ、見ているだけでも楽しい さながら、大人が楽しむ露店といったところだろうか ゆっくりと江戸情緒を楽しみながら見て廻る そんななか、ちょっと気になる店を見つけた そこは、歌舞伎文字の“御の字”さん 和服に身を包んだ女性の方が、団扇に独特の書体の文字を書いている 一筆、一筆、丁寧に、団扇に筆をのせていく… 団扇に文字を書かれているのは、歌舞伎文字勘亭流の田中志壽氏 歌舞伎文字勘亭流は江戸文字の一種として確立・伝承されてきた字体で、元々は歌舞伎芝居の絵看板への書き文字として考案され、柔らかく味わいのある縁起のいいこの字体は、200年の時を経て尚広く親しまれている 田中志壽氏は、その伝統的な技を踏襲しながら、時代のニーズに対応し、独自の世界を築きつつある (勘亭流・田中志壽氏の紹介チラシより) “御の字”さんでは、お客さんの要望に応えて、団扇に好きな文字(2~3文字)を書いてくださるとのこと それでいて、価格は1000円だという 伝統に対して、こんな事を言うのは失礼かもしれないが、とてもリーズナブルな価格だったので、こんな機会は滅多に無い!と、お願いすることにした ひたすら筆を走らせていらっしゃるので、若干声を掛けづらかったのだが、タイミングを計って声を掛ける すると、注文がちょっと立て込んでいて、1時間ほど時間が欲しいとの事だったので、その足で、再び散策を始めた 長椅子に赤い毛氈が敷かれた、なんとも味のある茶屋があったので、そこでちょっと休憩しようかと思ったのだが、 なにやら人だかりができているところがあったので、気になって足を運んでみた 黒子の衣装に身を包んだひとりの男性を取り囲むようにして、人が集まっている 殆どの人が自分より背が低いので、ちょっと覗き込むと、何をやっているか見えた “江戸糸あやつり人形”である 自分が訪れたときは、まだ始まったばかりだったのか、どの糸を動かしたら人形のどこが動く…といった、操作の仕方を、慣れた話術で巧みに説明しているところだった あやつり人形と繋がっている糸はたくさんあり、それらを使い分けることによって、あやつり人形の微妙な仕草まで表現することができる 説明が終わると、出し物の始まり 題名は失念してしまったのだが、内容は酔っ払いの男性を表現したもので、糸を巧みに操りながら、泥酔した男性を表現していく 人形の細やかな動きもさることながら、それを操る黒子さんの指の動きが実に見事で、ついつい見惚れてしまった 決して派手さは無いものの、凄い!の一言に尽きる 続いて、“獅子舞”という作品を披露して終了 最後に、皆さんが風邪を引かないように、獅子が廻って、ひとりひとり頭を噛んで廻ってくれるというので、自分も頭を差し出した カツッ、カツッ、カツッ… 自分の頭の上で、獅子が歯を合わせる音が響いた これで今年は風邪引かないかな? なんだか、ちょっと覗くつもりが、すっかり魅せられてしまい、江戸糸あやつり人形を十分満喫したのであった 浅草寺界隈のみならず、近辺の浅草の街をあちこち歩いて散策していると、気づけば結構な時間が経っていた そろそろ、お願いしていた団扇が出来ているだろう…と、再び浅草寺へと戻り、“御の字”さんを訪ねた お店に顔を出すと、相変わらずの盛況のようで、黙々と団扇に筆を走らせていらっしゃる 自分がお願いした団扇は出来ていた 何という文字をお願いしたかというと、一文字で『華』 “華のある人生を送りたい…” そんな思いから、一文字だけ書いていただいた 白い団扇に浮かぶ、赤茶色の「華」の文字 シンプルだけれど、うん、いい感じ 注文する際、「華」という一文字で、字は真っ直ぐに…という要望だけで、あとはお任せしたのだが、すっごく気に入りました 勘亭流の田中志壽氏のチラシに、こういった一文が寄せられている “心をこめた「手仕事」、させていただきます” まさしくその通り、自分のためだけに書いていただいた団扇 華の文字から、一筆一筆の思い、息遣いが伝わってくるようです ありがとうございました 大事にさせていただきます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月18日 06時23分52秒
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