|
カテゴリ:舞
今日は、暖かいというよりも、なんだか暑い
ジャケットを羽織っているんだけれど、歩いているだけで、額にうっすらと汗が滲んでくる そんな夏を思わせるような陽気のなか向かったのは、日比谷にある日生劇場 本日初日を迎えた舞台『赤い城 黒い砂』を観劇します 親友であった二人が一人の女を巡り、争い、奪い合う! 愛憎、憎しみ、嫉妬、欲、プライド… 人間が生まれながらにして持つ様々な業が複雑に絡み合い、やがて三人は荒れ狂う運命に引きずり込まれていく! (公演チラシより) シェイクスピアの幻の名作「二人の貴公子」を大胆にアレンジしたという作品 ところどころに、いかにもシェイクスピアらしい台詞回しが出てきたが、物語自体はとても分かりやすい展開だった 広大な草原の領地をめぐり、絶えず戦争を繰り返している、赤い国と黒い国 黒い国で“黒い国の獅子”と謳われる二人の英雄が、敵対する赤い国の王女に出会ったことから、運命が傾き始める 舞台では、二つの国の終わることない争いを軸に、私欲、愛欲、利欲と、人間たちのさまざまな強欲が描かれている 怒り、憎悪、嫉妬、陰謀、絶望… 嘆き、苦しみ、哀しみ… 地を這うようなねっとりとした感情が渦巻く 夢も希望もない話の展開に、少々食傷気味 というのも、ドラマチックな内容ではあるのだが、良くも悪くも、まとまりすぎているように感じたのである それゆえに、安定して見てはいられるものの、ハラハラもドキドキもしないので、ただただ人間の強欲さを見せつけられている気がして、お腹がいっぱいになってしまった 感情を内に秘めた片岡愛之助氏、その反対に感情を剥き出しにする中村獅童氏 根本的には同じ匂いを持ちながらも、相反する性格の二人の男を両氏は巧みに演じた そして、今回の舞台で、特に存在が際立っていたのは、赤い国の王女を演じた黒木メイサ氏 抜群のスタイルなので、立ち振る舞いがとにかく映える 男勝りで勇敢な姿は、頼もしいかぎり 男臭い世界観のなかで、綺羅星のごとく輝き、堂々と渡り合っていた “なぜ闘うのか” “なぜ愛するのか” “なぜ憎むのか” 物語のラストで、嘆くように吐かれるセリフ 我が欲を満たすために取った行動が、あまりにも皮肉な顛末を迎えることとなってしまっただけに、深く深く胸に響いた ほんと、なぜ人は闘うのだろう なぜ、人は憎しむのだろう 人間に“欲”というものが付きまとう限り、仕方のないことなのかもしれない 日生劇場4月公演 『赤い城 黒い砂』 4月11日(土)~26日(日)まで 出演/ジンク…片岡愛之助/カタリ…中村獅童/ナジャ…黒木メイサ/クジャ王…中山仁/牢番の娘ココ…南沢奈央/カイナ…馬渕英理可/武器商人モト…中嶋しゅう/牢番ヨム…田口守 ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月19日 09時41分59秒
[舞] カテゴリの最新記事
|