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カテゴリ:舞
ジャニーズ事務所のアイドルグループ・NEWSのメンバーの一人、加藤成亮氏主演の舞台を観劇するために、東京グローブ座へ
アイドルが主演だから、劇場はファンの女性ばかりなんだろうなぁ…と覚悟はしていたが、やっぱりこの独特の空間は、何度経験してもかなり居心地悪い 『SEMINAR―セミナー』 ある夏の早朝 イタリア・フィレンツェ郊外のセミナーハウスにある美しい庭の噴水で、一人の青年が倒れていた 彼の名はローレン アメリカの大学生で、メディチ家についての特別授業を受けるためイタリアに来ていた 同じセミナーに参加していた5人の学生と、1人の助教授は彼の姿に言葉を失う 誰が、あるいは何が、彼を追いつめたのか… 危険な香りのする若者の人生の核心に迫るイタリアへの旅 そして謎を解く“セミナー”がはじまる… (公演紹介より引用抜粋) 舞台は、かなり理屈っぽいセリフが並べられる 大学のセミナーという設定なので、ルネサンス時代を学ぶための講義の内容も訳が分からず、自分の頭のなかはチンプンカンプン!? すごく難しい硬派は作品といった感じ そのなかで、一人の青年が一石投じた波紋が周囲を巻き込む渦となり、それぞれの登場人物が抱えている悩みがどんどん浮き彫りにされていく 自分の思っていること、感情を相手にストレートにぶつけてしまう青年・ローレン ローレンが言っていることは正当で、何も間違ってはいない しかし、良かれと思ってしていることでも、相手にとっては有り難迷惑なこともある 悪気はないのだが、不器用な性格が災いしてか、相手には悪意に取られてしまう そんな些細な繰り返しのなかで、次第に人間関係に亀裂が生じ始めてしまう 人の気持ちを考えない心無い仕打ち 人間が人間を傷つけ、陥れる そして、自分がしてしまった事の重大さを知り、後悔する なんて人間は愚かで、そして残酷な生き物なのだろうか 人間の醜い部分を見せつけられ、胸が締め付けられる息苦しい思いをしながら、舞台を観ていた 主演を務めた加藤成亮氏は、難しい役所でありながらも、等身大の青年を熱演 つねに張り詰めていて、どこか陰を感じさせる男を巧みに演じていた 特に、ラストの、本水を使用した噴水にびしょ濡れになりながら薬を呷る、悲しみと絶望に打ちひしがれた表情が真に迫っていて、自分の感情は激しく揺さぶられた かっこよくて、頭も賢くて、演技も上手いだなんて、天は二物どころか、たくさん与えるんだね その他のセミナーの若者たちも、それぞれのキャラクターが活きていて、若さゆえの溌剌さ、未熟さが溢れていて、作品に活力を与えている そして助教授役を務めた賀来千香子氏が安定した演技で魅せ、舞台に厚みを加えていた 賀来氏、細身でスラッとしていて、スタイルよかったなぁ… 結局のところ、彼は何に追いつめられたのだろうか? 様々な要因はあるものの、最終的には自分自身に追いつめられてしまったのではないだろうか 自分に厳しいことは必要である しかしながら、自分のことは自分自身が労わってあげないといけない 胸の内に秘めたる苦しみや悲しみは、他の誰でもない自分自身が一番知っているのだから この作品、難しい作品なのだが、観終わったあとに、かなり苦味が強い余韻を引き摺る ローレンという青年の生き様には、多少なり自分と似ている部分がある 彼の姿に自分を重ね合わせて、彼の視点に立って舞台を観ていたからだろう 自分らしく生きるということ それが、果たして正しいのか そのことを痛感させられた舞台だった 舞台 『SEMINAR―セミナー』 東京グローブ座 5月17日(火)~6月3日(水)まで 出演/ローレン…加藤成亮/ハンナ…加藤夏希/グレチェン…賀来千香子/ジェイソン…中村倫也/テス…安藤聖/ミッシー…田畑亜弥/パトリック…上口耕平 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月19日 09時46分34秒
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