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カテゴリ:舞
天王洲銀河劇場で公演中のブロードウェイ・ミュージカル『スペリング・ビー』
第25回パットナム郡英単語スペリング大会地方予選 全国大会への出場権を競い合う、性格も年齢も家庭環境も、抱える悩みもそれぞれ違う少年と少女が6人 勝つのはたったひとり それはボク?それともアイツ? 勝敗の行方より、もっと大切なこと それは、とても、とても、素敵なはじまり… (公演チラシより) ちょっと気になる女優さんが出演しているので、観劇することにしたのだが、正直言ってあまり作品には期待していなかった ところが、その期待は良い意味で裏切られて、とても楽しくて面白いミュージカルだった 物語の舞台となっている“スペリング大会”の競技内容は、出題される英単語の綴りを間違えることなく言っていくというもの 例えば、“Flower(花)”なら、「F・L・O・W・E・R」という具合に、声に出して解答する 言い間違えると失格 最終的に勝ち残った人物が優勝となる そんな、スペリング大会というもの自体あることを初めて知った自分としては、果たしてこの英単語を言っていくだけの大会がミュージカルの題材として成り立つのかいささか疑問に思っていた けれども、さすがはブロードウェイ・ミュージカル 明るく賑やかな歌やダンスのナンバーが随所に盛り込まれていて、構成が実に巧み 幼いながらもそれぞれに悩みや苦しみを抱えていて、大会優勝を目指すという単純なストーリーのなかに、人間ドラマが展開されて作品に奥行きが出た 勝者は1人だけだから、当然のことながらそのなかには勝つ者もいれば負ける者もいる けれども、この作品のなかでの敗者は、決してめげてはいない むしろ負けたことによって色々なものを得て、前向きになっているのだ 人生勝ち負けがすべてじゃない そんな人生の教訓を学んだような気がした 今回の舞台は、出演者の方々皆さんが実に見事に役にハマッている 大会出場者の6人の子供たちを演じるのは、藤井隆氏、新妻聖子氏、梶原善氏、高田聖子氏、坂元健児氏、風花舞氏 皆さんそれぞれいいお歳を召しているが、堂々と少年少女を演じている 服装や喋り方、身振り手振りなどで巧みに表現しているのだが、どうしてもビジュアル的には無理があるのでは?という方もいるが、不思議と違和感を感じさせないのは、その役者の方の力量なのだろう とにかく、それぞれの役者さんは、一癖も二癖もある個性ある役柄を演じている 藤井氏の小生意気さ、新妻氏の健気さ、梶原氏の無邪気さ、自分でも自虐ネタにしてしまうほど7歳の少女を演じる高田氏、いかにも子供っぽい振る舞いの坂元氏、風花氏の鼻持ちならない高飛車な態度 皆が皆、カラーが違って個性が光る 対して、大人を演じる方々も負けてはいない 大会の司会を務める安寿氏は、物語の要ともいうべき役柄で、抑えてはいるもののその存在感は抜群!アドリブも巧みで、巧者ぶりが光っていた 出題者の村井氏は安定感ある演技、カウンセラー役の今井氏は大きな包容力と、ベテランの方々が舞台をしっかりと引き締めていた とにかく楽しい舞台なのだが、この作品には面白い趣向が用意されている それは、観客の方で希望者がいれば、舞台上に立ち、6人の役者さん達に混じってスペリング大会に参加できるというもの 自分が観劇した回は、4人の女性が名乗り出て、参加していた 舞台進行中は、ただ椅子に腰掛けているのではなく、6人の役者さんに混じって時には軽いダンスを促されて身振り手振りで踊ったりと、かなりのいじられよう 当然のことながら、スペリング大会の設定なので、舞台中央に立ち、出題された問題に解答しなければならない 正解すればそのまま舞台に残れるが、間違えれば客席に戻ることになる けれども、素人さんに出される問題は、考えなくても答えられるような簡単なもの と思いきや、いきなり難しい問題が出されたり、お客さんも一緒になって大盛り上がり 素人さんは、最終的には1幕が終わるまでには全員落とされる設定になっているんだけれど、素人の方が紛れ込んでいることによって、舞台と客席が一体になっている感じがあって、その雰囲気がすっごくよかった できれば、自分も舞台に上がりたいくらい だって、ほんとに楽しそうなんだもんッ! これは思い出になるでしょ でも、ネックが1つ それは、自分は英語が全くダメだということ 学生の頃の英語の成績は、教師が呆れるほど最悪だったからね アルファベット26文字を言えないぐらいだったから… そんな自分が舞台に上がったら恥かくだけだもんね なので、自重しました いや、思いがけずに素敵な作品に巡り合えて、ほんと得した気分 「観る」というよりは「楽しむ」ミュージカルだった 終演後には、出演者の方々(村井氏、、安寿氏、風花氏)によるアフタートークもあり、なんだかお腹いっぱい満足して帰路につくのであった ブロードウェイ・ミュージカル 『スペリング・ビー』 天王洲銀河劇場 7月17日(金)~8月2日(日)まで 出演/ウィリアム・バーフェイ…藤井隆/オリーブ・オストロフスキー…新妻聖子/リーフ・コニーベア…梶原善/ローゲン・シュワルツァンドグルーベニア…高田聖子/チップ・トレンティーノ…坂元健児/マーシー・パーク…風花舞/ロナ・リサ・ペレッティ…安寿ミラ/ミッチ・マホーニー…今井清隆/ダグラス・パンチ…村井国夫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月19日 09時56分02秒
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