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あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2009年10月07日
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カテゴリ:
京都紅葉寺殺人事件
その花の存在を知ったのは、もうだいぶ前に読んだ、山村美紗氏の短編小説だった…

容疑者には完璧なアリバイがあった
アリバイを証明する一枚の写真
そこには、容疑者の姿と一緒に、6時を差している時計台、そして白い花が写っている

何かからくりがあると睨んだ主人公は、写真を撮ったという公園を午前中に訪れてみる
確かに、時計台、そして白い花が咲いている
時計台は時間を勝手に弄くることはできない
やはり、アリバイは完璧…

しかし推理を重ねれば重ねるほど、犯人は容疑者以外には考えられない
行き詰った主人公は、夕方にもう一度現場を訪れてみる
するとどうだろう
午前中は白い花だった筈なのに、今は真っ赤な花が咲いているではないか
近所の人に聞くと、その花は「酔芙蓉(すいふよう)という
午前中は白い花だが、時間が経つにつれピンク色になり、やがて赤くなる
その過程が、まるでお酒を飲んで酔っているように見えることから“酔芙蓉”と名づけられた

アリバイトリックは崩れた
午後6時に撮ったならば、酔芙蓉の花は赤くなくてはならない
しかし、写真に写っているのは白い花
つまりは、これは午前6時に撮ったものだったのだ
こうして、アリバイが崩れた容疑者は逮捕された…

その小説を読んで、“酔芙蓉”という花を知った
午前中は白い花で、夕方には赤く色づくという
そんな不思議な花を是非この目で見てみたい
そう思いつつも、なかなかその機会がなく、気づけば長い年月が経っていた

酔芙蓉
今夏、ようやく酔芙蓉の苗を購入した
なかなかうまく生長しなかったのだが、幸いにも一つだけ蕾をつけてくれた
そして今朝、何気なく見てみると、その蕾が開いていたのである
酔芙蓉…
その存在を知ってから、どれだけの年月を経たことだろう
この白い花が、ピンク、そして赤へと色が変わっていくのか
花びらに穴が開くぐらい見つめるが、どこにそんな気配は感じられない

とはいえ、とても残念なことが一つ
と言うのも、これから外出しなければならないのだ
それも、帰宅は深夜近く…
折角開花したというのに、移りゆく色の変化が楽しめないのである
酔芙蓉って、深夜にはどうなってるんだろ?
花は真っ赤のままかな?
雨と風が強いので、家の中に鉢を入れて、外出した

23時過ぎに帰宅
ずっと気がかりだった酔芙蓉
玄関に置いている鉢を見ると…
!?!?!?!?
一瞬、我が目を疑った
なぜならば、花の色が真っ白だったのである
これは一体、どういうことなのだろう
酔芙蓉は、夕方には赤く染まるはずなんだけど…
まさか、深夜になると花の色が再び白に戻るとか!?
まさかねぇ
だとしたら、他に考えられるのは…
酔芙蓉じゃなくて、普通の芙蓉とか?
「……………」
その可能性大だね
色が変わった酔芙蓉を楽しみにしてたのに!
残念…







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最終更新日  2009年11月18日 10時28分15秒
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