ふと急に
海が見たくなったので、車を飛ばした
到着した頃には、すでに陽はだいぶ傾いていた
穏やかな海は、夕陽に染められてシャンパンゴールド色に煌いている
波打ち際にしゃがみこみ、大海原をただじっと眺める
寄せては返す波の音の心地よさ
悲しいわけでもないのに…
辛いわけでもないのに…
こうして
海を眺めていると、不思議と自分の心のなかがざわついた
不安?
焦燥?
夕映えの色が、さらに感傷的な気分にさせる
大海原をまえにすると、自分の存在や抱えている悩みがとても小さいことのように思える
そのことに海は気づかせてくれる
物静かな海は、そんな自分の想いを受け止めてくれているかのよう
一体どれほどの間、こうして海を眺めていたことだろう
海を見つめていたというよりも、自分自身のことを見つめ直していたのかもしれない