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カテゴリ:騒
朝から小雨が降っていた
“時間がない…” 焦る気持ちを抑えながら、車のハンドルを握る 出発する時間が予定よりも遅くなってしまい、若干自分のなかで焦りが生じていた 今日は日曜日ということもあって、首都高速は比較的空いている “このままなら間に合うかもしれない” そう思いながら、アクセルを踏み続けていた しばらく順調に走行していると、目の前に大型タンクローリーが立ちはだかった 法定速度で走っているのだろうが、焦っている今の自分の眼には、そのスピードがもの凄く遅いように感じられた 追い抜かしたいところだが、片側二車線の道路の左車線は、比較的ゆっくりなスピードの車が狭い間隔で走行しているので、車線を跨いで抜かすことができない まるで焦らされているかのように、行く手を阻まれた 焦りが次第に苛立ちのような感情へと変わっていくのが、自分でもわかった いつタンクローリー車を追い抜かそうか、そのタイミングばかりを窺う状態が続く ある高速出口を過ぎた頃だった 左車線を走行している車がないことを確認すると、自分は車線を変更した タンクローリー車を抜かすために、アクセルを踏み込む 直線だった道路が程なくして右の急カーブにさしかかる タンクローリー車の方が頭ひとつぶん前を走っている状態なので、前方の状態がよくわからないまま、カーブの流れに沿う !!!!! ようやく開けた自分の視界に飛び込んできたのは、カーブの途中で停車している大型タンクローリー車とタクシーの車輌 なんと、衝突事故が起きていたのだ!! しかし、その事実を知るにはあまりにも遅すぎた “このままだと自分も衝突する!!” 頭では解っていても、車はスピードが出ているので、今ブレーキを踏んだところで、間に合わないことは明白だった それでも、自分はブレーキを踏み続けた 不思議なもので、時間にすればほんの数秒のことなのかもしれないが、自分には考える時間があるほどの余裕を感じていた また、危機的状況にありながら意外と冷静でいることに、自分のなかで一種の覚悟ができていることを覚えた 僅かの間で、ハンドルを握りながら、頭のなかでは自分はどうすべきかを考えていた 与えられた選択肢は3つだけ 右にハンドルを切るか… 左にハンドルを切るか… そのまま衝突現場に突っ込むか… 右にハンドルを切りたいところだが、追い抜かそうと思っているタンクローリー車が右側をまさしく併走しているので、右に逃げることはできない かといって、左にハンドルをきって防護壁にぶつけたとしても、その衝撃で車がどういう動きを見せるかわからない 下手すれば後続車を巻き込む大惨事になりかねない ならば、自分に残された選択肢は1つ このまま衝突現場に突っ込むしかない!! できるだけスピードが落ちることをただただ祈り、ブレーキを強く踏み込んだ… ドンッ!! 衝撃が伝わった 衝突するまでの間にかなり減速できたのか、思ったより衝撃は強くなかった 車から降りると、衝突してしまったタクシーのなかを覗いた すると、運転手が運転席に座り込んでいた お客は乗せていないようだ すぐに声を掛けたが、いまいち反応がよくない そのすぐ傍らでは、タクシーに衝突された大型タンクローリーの運転手の方が居た その方から、事故の概要を聞くことができた 今回の事故は複雑を呈していた まず、一台の乗用車が急カーブでスピンをして防護壁に衝突して停車した その乗用車の後ろを走行していた大型タンクローリー車が停まるために減速したところ、その後ろを走行していたタクシーの運転手が減速していることに気づかず、追突を免れるために急ハンドルを切ったためにスピン 防護壁やタンクローリー車に衝突を繰り返してようやく停止した それから間もなくして、自分が追突した つまりは、3つの事故が不幸にも重なったということになる 見ると、自分たちの事故現場の50メートル程の先のところで、一台の車が横向きに停車していた ここは言わずとしれた急カーブ地帯 折りしもスピードの出し過ぎが事故を招く結果となった すでに警察は呼んであるとのことだったので、小雨降るなか、相手の運転手の方の連絡先を伺ったり、事故車輌のナンバーや、破損状態などを調べる こんな話自慢にもならないが、今まで何度も交通事故は経験しているので、こういうときは冷静に的確に行動することができる 自分が運転していた車は、左前方のライトのカバーが破損 それから前面のボディに凹みは見られたものの、自走も可能だし、見た目からすると意外とダメージは浅いようだ 自分が追突したタクシーは、後ろの部分のボディは凹み、トランクはくの字に拉げていた 玉突き事故の可能性があるので、前に回ってみると、タクシーの車体は原型を留めていない酷い状態だった グシャグシャに潰れた車体… 外れたバンパーは道に転がり、タイヤは破裂している タクシーに追突されたタンクローリーの運転手の話では、タクシーはずい分と派手にスピンしたと言っていたが、その言葉をまさに物語るような有様である 初老のタクシーの運転手の人と話をしていても、どこか上の空の状態にあるのは、きっと事故によるショックがあるのだろう 程なくして警察が来て、一通りの事情聴取が終わると、解放された 事故発生からすでに1時間ちかくが経とうとしていた 時間の遅れを取り戻すがために焦った結果が、このザマである 今さら思っても仕方ないことだが、悔やんでしまう もし出るのが1分でも早かったら… もしタンクローリー車を追い越そうと思っていなかったら… もし急カーブで乗用車がスピン事故を起こしていなければ… もし… もし… もし… 頭のなかで後悔の念だけが輪廻している 大袈裟かもしれないが、正直今回の件では、一瞬頭のなかに“死”という文字が浮かび上がった けれども、こうして無傷でいられる それだけでも良しとしたほうがいいのかもしれない 事故を起こしたのも、事故の被害を結果的にはどうにか最小限に食い止められたのも、すべては自分の判断によるもの クヨクヨしていても仕方ないので、気持ちを入れ替えるしかない 仕事の関係上、車の運転は欠かせない くれぐれも安全運転を心がけなければ!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年04月20日 07時47分43秒
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