カテゴリ:保健体育
僕が浪人時代のころの話。今から20年ぐらい前のことだ。
浪人というのは比較的暇だ。暇だと何を考えるか、何をするか分からない。だから、自分自身について深く見つめるというやつもいるし、パチンコに明け暮れるというやつもいたし、喫茶店にはまるやつもいた。 僕は太宰や龍之介、三島にはまった。 僕と同じように浪人していた高校の同級生は山下久美子の『マラソンウーマン』にはまった。『赤道小町ドキッ』のヒット曲を持ち、その後、布袋の嫁さんになり一時代を作ったアーティストだ。 しかし、僕の友人は彼女の芸術性にはまったわけではなかった。 夏のある日、彼の家に遊びに行ってみると、 「いいテープがあるから聞いてみない」 と言われた。 面白いものなら聞いてみようと思い再生ボタンを押してみると、女性の声の「ハァハァ」ばかりが入っていたのだ。 実は、『マラソンウーマン』は、間奏のところでマラソンをしている女性の吐く息が入っているのだが、彼はダブルカセットデッキを駆使し、その部分だけを60分テープに録音していたのだ。しかも両面に。 正直ショックだった。彼がそんなことをしたことに対してショックを受けたのではない。それを聞いた僕自身が不思議な感覚を覚えたことがショックだったのだ。 受験シーズンももう少し。そろそろ浪人が確定する生徒も出てくる。決してマラソンウーマンの彼のようにならず、まじめに勉強してほしいものでだ。いろんなことをやる暇があったら、英単語を覚えるとか、歴史の年号を覚えるとか、方程式を1題でも多く解くとかしたほうがよっぽどためになるものなのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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