韓国豆ゴハン

昼休みに会社のベランダで、お茶を飲みながら宇課長と話をしていた。
宇課長は日本通で、独学で日本語を習得した。が、使う機会がないと忘れちゃうから、たまに日本語でのお話会をする。
話は取り留めなく広がっていたのだが、話題たまたま盧武鉉（ノムヒョン）大統領の事に及び、いい機会とばかり訊いてみた。
と言うのも、先日の中央日報に、盧武鉉が懇意の新聞記者達に向かって「自分のどこが間違っているのか解らない」と話した、という記事があり、オヤオヤと思っていたからだ。

ネット版の中央日報は、読者が記事に対する意見を投稿出来るようになっていて、日本語版では案の定非難の意見が殺到していたが、韓国語版を見ると２つ３つしか投稿が無い。
（追記：今見たら、40件位に書き込みが増えていた）
折も折り、米国の官僚からは「大いなるアマチュアリズム」と評された盧武鉉大統領の執権能力に関して、国内外から批判が高まっているのに、開き直りか、或いは本物の馬鹿とも取れるこの発言を一体韓国民は関心が無いのか不思議だった。


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「盧武鉉に関心は無いですね、正直言って」と宇課長。

ほぉ~、そうなんだ。でも米国に見放され、同朋と思っていた北韓には裏切られ、経済も雲行き怪しいし、やっぱり大統領の責任じゃないのかい？

「それはそうですけど、でも仮に盧武鉉じゃなく他の人だったとしても、結果は大して違ってなかったと思いますね。」

そりゃまた随分と悟りきった発言・・・

「だから大部分の国民は、次の大統領を待ってるんですよ。朴槿恵（パク・クネ）です。李明博(イ・ミョンバク)が出ればそっちかも知れませんが、まぁ、確実にどちらかがなるでしょう」

でも、盧武鉉だって本命じゃなかったのに、棚から餅みたいなものだったんだろ？それにいくら朴正煕（パク・チョンヒ）の娘だからって、政治家として有能かどうかは解らないじゃないの？

（注：朴槿恵は、かつての軍事政権、朴正煕大統領の娘。独裁政権だったが、５０代６０代の世代は朴政権時代を懐かしむ声が少なくない。
李明博は前ソウル市長で、ソウル市内の<バス専用レーン化や清渓川の再生事業をやった。現代時代から唯我独尊的傾向があるが、強力なリーダーシップがあり、相当なキレ者。僕も次は彼だと思う）


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さて、実はココからが本題。韓国人の非常に興味深いメンタリティが語られた。

「いや、朴正煕の娘だから良いんですよ。ねぇ部長、ココのところが日本人と韓国人の、最大の違いだと思うんですが、韓国では、例えばある人が何か悪い事をしたとしますね。そうするとその人だけじゃなく、子供と孫の代まで、やっぱり悪い人だと、みんな考えるんですよ。実際は全然関係ないんですけどね。でもそうなんです。」

いや、参ったねこれは。孫子の代まで祟られる訳かい？

「はい。だから昔は、何か政治的に粛清されたりすると、本人だけじゃなく孫の代までその対象だったんです。多分中国から来た考え方だと思うんですが・・・」

えぇ～と、じゃぁ例えば青少年が何か悪さをしたとすると・・・

「それは親が悪い人間なんですよ。」

ははぁ、子供の犯罪を親は必死でかばう訳だ。

「日本だと、昔の事は昔の事として、水に流して、新たに未来を作りましょうって、そうするじゃないですか。コイジュミ氏もそう言いますね。韓国人は違うんです。それが出来ないんですよ。と言うより『過去は過去として』と言うのが、どうしても理解出来ないんです。韓国人の感覚では、過去の悪い事は消し去らないといけないんですよ。３世代に渡って、あらゆる事実とか名前とか、消しちゃわないと清算した事にならないんです。」

あぁ、それは将に中国の考え方だねぇ。

「はい。だから、ヤシクニ（でしたっけ？）・・靖国の事は口で何度説明しても、韓国人は理解出来ないでしょうね。とりあえずＡ級戦犯とか、消えずにずっとそこに居るんだし、総理大臣がお参りまでするんですから」



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この日の話は、非常に興味深い点を指摘している。
一つは、最初の話題にある「次のリーダーを待っている」と言う点。韓国社会に身を置いていると、これは実感としてとても良く解る。
つまり、社会全体があらゆる局面で「トップダウン」構造になっているから、何か不都合があっても、下から改善なり改革が湧き上がる「ボトムアップ」が殆ど無い点だ。
勿論狭い範囲で不満や文句は口にするが、自ら改革しようという発想はない。 尤も、下が自発的に何かをしようという行為自体が、社会秩序に対する重大な反逆だから、そういう発想に至らないのは仕方がない。
常に上からの指示を待ち、理不尽であろうと基本的にはリーダーに従う、と言うのが大部分の人々の生き方だ。
翻って、何かにつけて責任逃れを口にする、韓国人の特徴の基盤となる部分だ。つまり自分は指示に従っただけで、自分の責任じゃない・・・というわけ。


二つ目は後半の「３代御破算」の考え方だ。
多分に中国の方式が輸入されたものだろうが、此処まで極端では無いにせよ、それに近い考え方は、近代までのヨーロッパの歴史にも見る事が出来る。
むしろ、「禊ぎ」をして「水に流して」しまうやり方の日本の方が特殊な部類かも知れない。
これで、ネットでよく話題になる、「日本人の親は、子供が罪を犯したら警察に行かせるが、韓国人は逃がす」の話が良く理解できる。警察に行かせたが最後、自分が悪者になってしまうから、必死で逃がすのは道理だ。
日本では、一時的に非難は浴びるだろうが、時間が経って「禊ぎ」が済めば許されてしまう。最初から結果が見えているという、ある種「出来レース」のようにも考えられる。




どちらにせよ、日本に住む日本人には、上の２点を理解するのは非常に難しいだろうと思う。韓国人は韓国人の判断基準で日本を量るし、日本人は日本の考え方が全て正しいと思っているから、判断基準の違いを考慮せずして、まともに議論など出来る訳が無い。

どちらにせよ、世間知らずという点ではお互い様だ。


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