アイザック・アシモフ「われはロボット」
ロボットといえば本書である。
SF、ミステリ、思想、どれに主眼を置いても良し。
ベストは高級なミステリ「証拠」か。
「ロビイ」
子守用ロボットのロビイと少女グローリアの物語。
子供が何に価値を見出すかは、如何に己も過去には子供だったとは言え大人には計り知れない。
そして時には、計り知れないという事すら自覚し得ない。
「堂々めぐり」
ロボット工学三原則を用いたミステリとも読める作品。
謎も解決もこの三原則に則している。
流石はアシモフといった作品。
「われ思う、ゆえに・・・・・・」
人間とロボットの価値観の違い。
何でも出来るロボットを作れる人間が偉いのか、何でも出来るロボットが偉いのか。
三原則は如何にして守られるのか。
「野うさぎを追って」
人の目が無い時だけ不調を起こすロボット。
ロボットが嘘を付く事は有り得るのか。
「うそつき」
読心の力を持つロボット。
読心の力を持つが故に陥る状況。
「迷子のロボット」
三原則の第一条が上の句だけになったらどうなるのか。
亦、それによって起こった問題を如何にして解決するのか。
「逃避」
ロボットのジレンマからの逃避とは何を意味するか。
「証拠」
市長選に出馬しようとする検事がロボットではないかとの疑惑が巻き起こる。
解決は明示されないが、最後のキャルヴィン女史の科白によって一級品の本格ミステリとなる。
「災厄のとき」
ロボットと人間についての思想が存分に語られる。
人間性を捨てられたら争いは終わるのか。
天秤はどちらに傾くか。