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2004年05月31日
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<------前回の日記からの続き。------>

就職先は、国際運輸の会社。俺は輸出課で、
船による輸出の営業をする事になった。
仕事は忙しかった。余計な事を考える余裕も無かった。
だから職場はいつも活気があった。男性も女性も
いい意味で全く同等だった。

そんな時、ある女性に出会った。
信託銀行で働いていたその子は、
背が小さくて、笑顔がかわいく、
とても優しく、寂しがりやな女性だった。
そしてほどなくして、お付き合いが始まる。

学生時代部活一筋で、あまり女性と関わりの無かった
俺にとって、彼女との日々は楽しく、また難しいものだった。
付き合いだして2年目、入社3年目になり、仕事も更に
厳しくなっていった。

当時、社内はバラバラで、色々な部署でミスが多発していた。
顧客の矢面に立つのは営業の俺。
ミスをした他部署の人間は何も反省しない。
正直「やってられない」と思っていた。
そんな中、彼女は優しく俺を支え続けてくれていた。
自身のことなど、何一つ要求せず。

そして俺は、転職を決意する。

実は当時「結婚」の話が二人の間に出ていた。
俺も彼女もそのつもりだった。
しかし、転職を決意した事で俺は
「新しい職場で一人前になってから
お前の両親に挨拶に行く。それが筋だと思う」と言い、
彼女も了承してくれた。
今後について意気込む俺は、
彼女の寂しそうな顔に気付く余地は無かった。

そして、退職月の3月になって、
彼女は突然、俺に別れを切り出す。
理由は「友達が別れた方がいいって言うから」
それを聞いた俺はその無責任な言い方に怒り、
二人の関係は破局した。

もちろん、落ち込みはした。しかし、次の月から新しい職場、
気持ちを切り替えなければと自分に言い聞かせ、
業務の後始末を続けていた。
お世話になった人達への挨拶めぐりの為、
大阪に旅立つ準備をしていたある日、
携帯が鳴った。
彼女からだ。

しばしの世間話の後、彼女はこの前の言葉について俺に詫び、
できれば元に戻りたいと言った。

正直に言うと、俺はその時、素直に嬉しかったのだ。
その場でOKしてもよかった。
しかし、彼女が以前俺に投げた言葉の真意が気になり、
「大阪から帰るまで考えさせてくれ」と伝えた。
大阪からは3月25日に戻る予定だった。その後会おう、と。

そして大阪。在職中にお世話になった人達に謝意を伝え、
怒られ、惜しまれ、飲んで、笑って、そして彼女の事は
少しだけ俺の中で薄くなっていた。

3月23日、その日も遅くまで飲んでいた。
ほろ酔い気分の俺は、何故か彼女へのお土産について考え、
本人に聞こうと携帯電話を取り上げた。が、結局
電話はしなかった。

これが、俺が今まで生きてきた中での、最大の失敗だ。

翌日、3月24日、その日は神戸にいた。
友人と昼食を楽しんでいた俺の携帯が鳴る。
彼女の実家の番号が表示されていた。
電話に出たのは、彼女のお姉さんだった。
「どうかしたんですか?」
何も知らない俺に、次の瞬間、考えもしない言葉が返ってきた。

「妹が、死にました」

その瞬間、俺の中で何かが壊れた。
何も見えず、何も聞こえなくなった。
何を言ったのかも覚えていない。

すぐさま東京へ戻り、彼女の家へ。
待っていたのは彼女の家族と、
変わり果てた彼女だった。
眠っているかと見間違う程、彼女の顔は安らかだった。
しかしその身体は、氷のように冷たかった。

そして結婚の挨拶ではじめて会う予定だった彼女の父親から
俺は衝撃の事実を聞かされた。

彼女は、鬱病だった。

知らなかった。信じられなかった。
いつも笑顔で、誰にでも優しい彼女が
鬱病だったなんて、信じられなかった。
信じようとしない俺に彼女の姉が白い紙袋を
見せてくれた。
中にあったのはおびただしい量の錠剤。
その瞬間、俺は彼女がいかに俺のせいで
無理を重ねてきたのかを悟った。

俺のせいだ。俺が殺したんだ。
目の前が真っ暗になるということを初めて体験した。

遺書には誰かを責める言葉は何も無かった。
ただ疲れた。と。
俺の事も、嫌がっていた仕事の事も、何も書いてなかった。

葬儀がすべて終わり、親族で慰労会が催されていた時
俺は彼女の姉に呼ばれた。
彼女についていくと、くしゃくしゃの封筒を手渡された。
中には手紙が入っていた。彼女から俺への。
そこには、ひどい事を行って申し訳ない。でもやはり、
俺と一緒にこれからも生きていきたい。と書かれていた。
そして、分の途中で手紙は終わっていた。
恐らく書いている途中で捨ててしまったのだろう。

もし俺が、もったいぶらずすぐに許していれば、
もし23日に、彼女に電話していれば、
彼女はこうならなかったかもしれない。
そもそも俺と出会いさえしなければ、
幸せに生きていたかもしれなかったのだ。

そしてそんな状況のまま、新しい職場での生活がスタートした。
仕事は何とかこなせたが、心は上の空だった。
何もする気が起きなかった。何もしたくなかった。
事情を知る人たちの励ましなど、全く耳に届かなかった。
なぜ俺だけのうのうと生きているのか、
それしか考えられなかった。
今思えば、俺も鬱になりかけていたのだろう。
しかし死ぬ勇気もない。そんな状態のまま、毎日が過ぎていく。

そんな状態で2年が過ぎた。
多少仕事にも慣れたが、気持ちは何も変わらなかった。
会社にいるときは明るく振舞い、会社を一歩出ると
とたんにため息しか出なくなる。そんな毎日だった。

そんなある日、ちょうど一年前くらいの事だ。
いつもの様にため息をつきながら歩いていた俺は
ある言葉をつぶやいた。

「しかし、あいつも、よくこんな俺についてきてくれたよな」

言った瞬間、身体中が痺れた様な錯覚を受けた。

それまで俺は、自分を責める事しかしていなかった。
責める事で、彼女の人生を壊した自分を正当化
していたのかもしれない。
しかしその時初めて、彼女が俺にしてくれていた事の
大きさに気付いたのだ。

彼女のお陰で、今俺はこうして生きていられるのだ。
だったらこの命、どう使えば彼女は喜んでくれるだろうか?
その瞬間から、こう考えが変わった。

それから俺は、医者やカウンセラー、色々な会社社長の講演会や
書籍などを読みふけり、自分の生きる道を探した。

そしていくつもの出会いを経て、今年の3月、俺は会社を辞め、
全く知らない世界へ足を踏み入れる事を決意した。
次は全く決まっていない。それでも、前に進む事を決めた。
恐らく楽な道ではないと思う。
しかし、2001年3月24日のあの事と比べれば、たいした事は無い。
全てを失った、あの日と比べれば。
ここからが、自分のスタートである。

あれから3年、俺も少し変われたような気がする。
以前よりも人に対して慎重というか、
悪く言えば人見知りをするようになった。
人に騙されたり、トラブルに巻き込まれる事も増えた。
でもそれ以上に、素晴らしい人達との出会い、気付き等、
嬉しい事の方が多くなった。
少しづつでもこうなってこれているのは、
今まで出会ったくれた方々、皆さんのお陰だ。
本当にありがとうございます。
そして見ていてください。
皆さんに頂いたこの命、無駄にはしません。

これらの経験、教訓を胸に、
二度と同じ過ちを繰り返さない様、
俺は毎日を生きていきます。

明日でついに退職。
本当に本当の最後だ。
すっきり終わらせて、次へ進みたい。





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最終更新日  2004年05月31日 01時12分19秒
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