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カテゴリ:Jazz Memorandum
前のページからのつづきです。
---------- 2.即興演奏とアド・リブ ここで、 「即興演奏と躍動的な〈オフ・ビート〉のリズムを主な特徴とする。」 とありますが、これがジャズという音楽を実に的確に表した一番の基本です。 要するに、それは逆を言うと、 この「即興演奏」で、なおかつ「躍動的なオフ・ビートのリズム」がある音楽が、 「ジャズ」であるということです。 ほかに細かいことを言えば、ジャズ的なフレーズ、 ジャズ的な和音(コード)、ハーモニーというものなどがありますが、 それらは決定的なものではないということです。 ここでまず「即興演奏」とは、英語では「インプロヴィゼーション(Improvisation)」というもので、 ジャズの最も重要な要素です。 即興演奏とは、楽譜など、前もって決められたものによらないで、 演奏者がその場で即座に楽曲を創作したり主題を発展させたりしながら演奏することです。 ジャズにおいて即興演奏とは、インプロヴィゼーションと言うことが多いのですが、 これはジャズの命ともいうべきものでしょう。 極端な話、ジャズ=即興演奏(インプロヴィゼーション)とも言えます。 また、即興演奏と同じように使われる言葉で、 即興的に演奏することを「アド・リブ(ad lib)」とも言います。 ♪ジャズ用語の説明 「インプロヴィゼーション」=英語で自分の意のままに自由に演奏すること。即興演奏 「アド・リブ」=ラテン語のアド・リビトゥム(ad libitnm)の略で、 「随意に」、「自由に」という意味。ジャズのソロでの即興的な演奏のことを言う。 「インプロヴィゼーション」と「アド・リブ」はほとんど同じ意味で使われる。 使い分けをするとすれば、インプロヴィゼーションはジャズの演奏の全体的な即興のことをいうのに対し、 アド・リブの方は演奏の中で演奏者のソロ演奏に対していう場合が多い。 たとえば、「ジャズでソロをとる」ということは、 曲中で一人が(伴奏の有無にかかわらない)思いのままの演奏をすることを言い、 このときのことを「アド・リブ」をすると言う。 ということで、 『ジャズを演奏すること=アド・リブをやるということ』なのです。 3.ジャズのリズムとジャズのノリ しかし、ここでもうひとつ、ジャズでは大切なものがあります。 それはジャズのリズムです。 ジャズの特徴的なリズムは、「躍動的な〈オフ・ビート〉のリズム」というものです。 まず、ジャズのリズムは一般的には「フォー・ビート(four beat)」というものです。 ジャズの曲のリズム形式は、大半が、この「フォー・ビート」のリズムだと言えます。 すなわち、ジャズの基本的なリズム形式は「フォー・ビート」のリズムだということです。 これは基本的には、ベースが1小節に4つの音を鳴らします。 4分音符を4つずつ弾きながら、コード進行に従って、ベースラインを作ります。 つまり、1小節に4つのビートを作ることが、「フォー・ビート」というものです。 このときのベースラインを、歩くようなベースということから「ウォーキング・ベース」といい、 「フォー・ビート」のリズムの基本を作っています。 ここで大切なことが「ノリ」というものです。 ただビート(拍)を4つ鳴らせば「フォー・ビート」になるというものではありません。 これがわかっていないとジャズは演奏できないといってもいいほど、重要なことです。 この独特の「ノリ」というものがあってこそ、ジャズになるといえるほどのものです。 それが、ジャズ特有の「スウィング感」、「グルーヴ感」、「ドライヴ感」といったものです。 デューク・エリントンの曲に「スウィングしなけりゃ意味がない」という曲がありますが、 まさにこの「スウィング」というリズムの感覚がジャズの命なのです。 これがまさしく「躍動的な」という表現の部分です。 そして「オフ・ビート」。 それは、躍動的なジャズ独特のスウィング感を生み出すビートが「オフ・ビート」というものです。 「オフ・ビート」は「アフター・ビート」とも言いますが、 ジャズのリズムの基本の基本は「オフ・ビート」または「アフター・ビート」というもので、 アクセントの位置がビート(拍)の後ろ(裏拍)にあるということです。 1小節に4分音符4拍で考えた場合、「1」、「2」、「3」、「4」、と手をたたきます。 普通ならアクセントは「1」と「3」になるようにたたきます。 学校の音楽の時間でもそう習っているはずです。 しかし、ジャズの場合は全く逆で、「2」と「4」にくるようになります。 音楽に合わせて手拍子をする場合、日本人の多くは「1」と「3」をたたくはずです。 黒人の場合は自然に「2」と「4」でたたきます。ここの違いです。 それと、音符の取り方で「タン、タン、タン、タン」を3連符をつなげた形で「ター、タ、ター、タ」 というニュアンスでリズムをとりますが、これは譜面の音符ではそうは書いてありません。 実際に演奏する時にはそういうとりかたをして演奏をするということです。 あくまでも譜面で書けるリズムではないのですから、微妙だということです。 あまりはねすぎたりすると「シャッフル」というリズムになってしまい、 ジャズにおいてはカッコ悪くなってしまうので、ここがむずかしいところです。 「タッ、カ、タッ、カ」となってしまうと「阿波踊り」になってしまいます。 「タータ、タータ」と演奏することを、「バウンスして」(ハネて)演奏するといいます。 ジャズの初心者は、一般的にハネすぎる(スキップするようなシャッフルになる)傾向がありますが、 少しイーブンに近い感じで伸ばすようにして「ター、タ」の後ろ(タ)の方にアクセントをつけるようにすると、 ジャズらしいノリのフレーズになります。 一般的には、テンポの遅い曲はバウンスの度合いが大きく、強く裏拍をひいて演奏し、 テンポの速い曲では、ほとんどバウンスしないで演奏します。(微妙) そして、これらがジャズのノリを作り出すことになります。 このことは、譜面では書き表すことは、ほとんど不可能なことですし、 たとえ書き表したとしても、そんな譜面を見て頭で考えていたのでは、とてもノリなんて出せません。 ジャズのリズムは、身体で感じるしかありません。 このフォー・ビートの基本は、4拍子だけの話しではなく、 3拍子(ジャズ・ワルツというもの)でも、5拍子でも、変拍子でも、スローになっても全て同じことです。 追記:3拍子でもジャズでは「フォー・ビート」のリズムのノリで、スウィングするのです。 これを普通のワルツとは区別して、特に「ジャズ・ワルツ」といいます。 これが「躍動的なオフ・ビートのリズム」ということです。 したがって、 『ジャズとは、即興演奏を躍動的なオフ・ビートのリズム(ノリ)でやる音楽』 だということです。 即興演奏と躍動的な〈オフ・ビート〉のリズムは、併(あわ)せ持っていなければならないものです。 ですから、たとえフレーズだけがいくらすばらしいジャズのフレーズであったとしても、 それがスウィングしていなければ、ジャズにはならないということです。 しかし、たとえ一音だけのフレーズでも、それでスウィングさせることができれば、 すばらしいジャズの世界が広がるのです。 ●ジャズは「アド・リブ」と「スウィング」による「インプロヴィゼーション」の音楽 作成:Ohzeki-Toshio 2011年 【ジャズ】人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 3, 2011 11:46:40 AM
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