その名はコロ助。(その3)長門牧場までは,ほとんど一本道と言っていい。 交差点を曲がったのは2回か3回くらい。 楽なのはいいが,道が単調でちょっと眠い。。。 天候は晴れ。 昨日ネットで天気を確認したときは一日中曇りマークだったが,私は個人的に旅行に行ったときに雨に降られたことがない(降っていても晴れる)ので,天気に関しては心配していなかった。 ただ,結構寒いけど。 風がそんなにないにもかかわらず,寒い。 オーナーさんの言うとおり,真冬用の装備をしてきてよかった。 片道約30キロの道のりを,マーチはトコトコ走っていく。 右に左に連続するカーブを,一生懸命登っていく。 パワーはないけど,これはこれでいいかもしれない。 信号のない道を快調に走り,11:20ころに長門牧場の駐車場に到着。 オーナーさんに電話をすると,「パジェロで迎えにいきます」とのこと。 あり? 昨日予習したときには,確か15分くらい歩いたって書いてあったんだが。 車から降りて,遠くに見える山々を眺めながら癒されていると,2分と経たないうちに大きな車が入ってきた。 うぉー,早ぇー。 その車はマーチのすぐ近くに停まった。 ところが,助手席のおばさんがこちらをちらちら見ながらも,なかなか降りてこない。 こっちはバッグを持って待っているというのに。 ようやくのそのそと降りてきたおばさんに「先ほど電話したすえぞぅ。ですが」と切り出したら,顔をしかめて,手をパタパタ振っている。 なんだか,「わたし違うわよ。違うわよ。」と言っているように見える。 ・・・・。 そぉっと車の後ろに回って車種を確認すると,「PRADO」て書いてあった。 今度は人違いかよ・・・・・・・・・・・・_l ̄l○lll あまりにタイミングがよかったので,「大きな四駆の車」としか見てなかった。 長野まで来て,何やってんだか。 ま,まぁ,旅の恥はかき捨てって言うし。 気を取り直していこう。 待つこと数分。 今度こそパジェロがやってきた。 オーナーさんが運転してくれて,牧場まで連れて行ってくれるという。 なんかすみませんねぇ。 この時間の客は私一人。 だからわざわざ迎えにきてくれたのかなー。 車を停めたところから少し斜面を下ると,目の前にだだっ広い牧場が見えてきた。 なんだこの広さは。 奥の方に目をやると,円形のサークルとか,クラブハウス(みたいなもの)とか,洗い場(のようなもの)が見える。 ていうか,半分くらいブルーシートをかぶったゲルも見えるんだが。 うーわー。 なんか,どっちを向いても「すげぇ。」しか言葉が出てこない。 申込用紙を書き終えると,ゲルを借りて着替え。 下はキュロットにジョッパーブーツ,チャップス。 耐寒用の厚手の靴下。 上は熱を蓄える長袖Tシャツの上に,いつものタートルネックのTシャツを着て,その上にプロテクターを付け,さらにユニクロのエアテックジャンパー。 頭は当然,いつものヘルメット。 龍ヶ崎での完全真冬装備。 モコモコしてちょっと動きづらい・・・? いやいや,まだ平気。 ちなみに,手袋は軍手を用意。 野山を駆け回るので,いつもの手袋よりもいいと思ったのだが,これがとんだ誤算だと気づくのはもう少し後のこと。 外に出てみると,オーナーさんがちょうど1頭の馬に乗ってサークルに入るところだった。 名前は「コロ助です」だって。 ふぅーん。 私はそれよりも,「長野に来ても,やっぱり芦毛の馬に乗るんだ,オレ。」って,そっちの方が気になってた。 ひとしきりオーナーさんが駈歩までやってから,いよいよコロ助に騎乗。 あ,ウェスタン鞍だ。 これももちろん初めて。 あぶみもブリとはまったく異なるから,なんだかしっくりこない。 ま,なんとかなるだろ。 サークル内で,しばし常歩と速歩をやってみる。 で,このときあることに気づいた。 それは 「手がすべる」 こと。 実はこのコロ助,手綱がヒモです。 ただの太いヒモになってます。 で,持ってきた軍手が普通の白いやつなので,ひっかかりがなくて手綱がつかめない。 馬が口をぐいっと前に出すと,手綱がすべって一緒に持って行かれてしまう。 これには参った。 いざってときに止められないぢゃん。 軍手を持ってくるなら,手のひらや指先にすべり止めが付いているやつにするべきだった。 5分くらい,サークル内を速歩でぐるぐる,ぐるぐる。 コロ助は,正反動で座ろうとすると,結構反動が大きい。 まともに座っていられない。 途中からオーナーさんも入ってきて,和種の話や側対歩と斜対歩の話などを聞かせてくれた。 オーナーさんが乗っていたのがその側対歩の馬だった。 クラブでは1回しか見たことがないので,なんか物珍しくてじぃぃっと見ちゃった。 反動が小さいらしいから,ちょっと乗ってみたいぞ。 ひとしきりサークル内を回った後で,いよいよ山の中へ。 標高が高い(1400~1600メートルくらい)ことや気温が低いこともあって,日陰に入ると雪がまだ残っている。 その上を,コロ助はごく普通にざくざく歩いていく。 単なる山外乗のつもりで来たのに,期せずして雪山外乗になったのはうれしい誤算だった。 ここから,いよいよ本格的に走ることになるのだが,それは想像をはるかに超えるスリリングな騎乗だった。 ジャンル別一覧
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