飛騨の社労士　矢島社労士事務所

お客様から会社のパートさんに届いた年金定期便のことで相談したいとの電話を戴きました。

お邪魔してみると「オレンジ色の封筒」で届いた「年金定期便」でした。

実は私、オレンジ色の封筒で届いた定期便は初めて『どれどれ…』と興味深く拝見しました。

お客様は中堅企業の労務部門のベテラン、年金問題に関してかなり知識のある方で、

パートさんから相談され定期便の中身を見たが問題の見当がつかないとのこと。

加入履歴や標準報酬の移り変わりの記載文書を見ながら話をしていましたら、従業員が

「こんなのも入っていたんです…」と下から一枚を取り出しました。

読んで見ると、

『朱書きしてある部分に特に問題があるかもしれないので、特に注意して確認してほしい』

という内容の文言が書いてあり、２０年前の厚生年金の加入記録の内、２年ほどの標準報酬月額が朱書きされていました。

そう書いてありましたが、パートさん、労務担当、そして私の３人で眺めていても何が問題なのかわかりません。

仕方なく社保に朱書きの理由を電話で相談してみると、すぐにわかりました。

２０年前の厚生年金加入時に、理由は不明ですが６か月以上遡及して加入しているからなのだそうです。

こういう場合、理由は記載せずに『問題があるかもしれないので、特に注意して確認してほしい』

と記載した定期便が届くのだそうです。（知らなかったョ）

実はこのパートさんの２０年前の厚生年金の加入は、独身時代にこのお客様の会社に勤務した時の加入履歴でした。

２０年前のことでしたが、本人は「そう言えば、会社に入ってしばらくして保険料をまとめて支払ってほしいと言われた」ことを記憶していました。

今回は偶然現在の勤務先の加入記録の話で、良好な労使関係があるようで

「問題ないわね。」と簡単に片付きました。

しかし、例えばかなり昔の勤務先の時代の話で、解雇など不本意な形で離職しているような場合、

『朱書きしてある部分に特に問題があるかもしれないので、特に注意して確認してほしい』

などと書かれた定期便を受け取れば、どう思うでしょう。

何もなくても何か不正があったかのように邪推されるのですから、私は嫌ですね。

『朱書きしてある部分に特に問題があるかもしれないので、特に注意して確認してほしい』

こんな言葉を添えて、オレンジ色の封筒を送付し仕事を済ませたと思っている社保庁の感覚を疑います。

こんな文書をもらって平気な人…いないと思うなぁ…

本当にこんなことを確認する気なら、費用と時間をかけて個別対応すべきでしょ。

懲りずに禍（わざわい）のタネを撒き散らしているのですから、また社労士は苦労しますよ。

(私に言わせりゃこれは暴挙です。連合会は事実を知っているのでしょうかねぇ。)

追記

社保庁の年金定期便に関するQ&A 問72の答えの4にこんなことが書いてありましたので、添付します。

>4.「標準報酬月額を確認していただきたい旨の文書」のみが同封されている方
　あなたの標準報酬月額の記録の中に、「注意を要する記録」が含まれておりますので、
入念にご確認いただきますようお願いしたします。
　 なお、「注意を要する記録」とは、
◆ 標準報酬月額の引き下げ処理と同日もしくは翌日に資格喪失処理が行われている
◆ 標準報酬月額が遡及して５等級以上引き下げられている
◆ 　６ヶ月以上遡及して記録（標準報酬月額）が訂正されている
といったものです。