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山本浩司の雑談室2

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2011.05.23
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カテゴリ:カテゴリ未分類
最近の受験生が、試験の結果が発表された後に、記述式試験の採点について「意外だ」という感じで語る感想は、次の2つのタイプに分かれる傾向があります。

1、思ったより点が低かった
2、思ったより点が高かった

ぼくが話を聞く限り、1の人は、大筋(記述式試験にいくつか存在するテーマのようなもの)では正しい解答をしていた人です。
だいたい正解したはずなのに、なぜ、減点が多いのかなということです。

2の人は、大筋のいくつかを間違えた人です。
にもかかわらず、けっこう点が入っていたなということです。

実は、このことは、次のような採点基準を示唆します。

「当たり前のことを間違えたときは、しっかり減点する」

つまり、1の人は、大筋は正しいながらも、細かいミスがあるのです。
これを、しっかり、減点された結果として上記の感想に至ります。

2の人は、大筋でミスをしたものの、それ以外はできていたのです。
そのため、得点が入ったのです。

要するに、司法書士試験では、「当たり前のことを間違えるとしっかり減点される」のです。

前回の記事でお話ししたように、これは、試験委員が、記述式試験を、最終的に「司法書士になるための基本事項がわかっていない人を落とす」ための試験と考えることから当然に導き出される採点基準と思われます。

つまり、試験委員が、「ちょっとこの点は受験生には難しかったかな」と思うような論点を間違えたときは、「お目こぼし」があるわけです。
「ここは、実務家でもちょっと迷うところだから、受験生がわかんなくてもしょうがない」という感じです。

しかし、試験委員が「わかってもらわないと困る」と思うような基本事項を間違えると「お目こぼし」は、ありません。
しっかり減点され、合格に必要な基本ができてない受験生だから、「今回は残念ですが、また来年ね。」という評価をされかねません。

たとえば、役員の就任の登記を申請するのに、添付書類の「就任承諾書」を書き落としたとしましょう。
受験生の感覚は、「あっ。書き忘れた。小さなミスだな。」であっても、試験において評価の対象は「答案用紙に書かれたこと」だけですから、試験委員は次のようにとるかもしれません。

「この受験生は、「会社と役員等の関係は委任に関する規定に従う」という会社法330条の理解をしていないのではないか?委任契約の成立には会社の選任行為の他に役員等の就任承諾がいるのは基本事項ではないか!だから商業登記法54条が存在するのだ。こういう基本条文がわかっていないようでは、司法書士になるのはむりだ。」

こういう理由で、当たり前のやさしいことを間違えると罪が重いのです。

さて、以上、縷々、述べたことで、記述式試験において受験生の感想が2つに割れた理由はわかるでしょう。
案外に、やさしいところの配点基準は高いと思われるのです。

さて、では、今後の受験生は、記述式試験についてどういう対応をすればよいのでしょうか?

もちろん、次の対応をすればよいのです。

解答用紙に、採点する試験委員に次のことが分かるように解答を書くのです。

「私は、司法書士になるための最低限の基本はできています。だから、合格させてくださいね。」

実際のところ、昨年の本試験では、記述式試験の基準点は70点満点中37.5点にすぎません。
半分ちょっとで、試験委員は「最低限の基本に達した」と評価してくれます。
なんて、心やさしい試験委員なのでしょう。

以上の検討から、記述式試験の対処法は、「見えた」のではありませんか?

ぼくが思うに、もっとも大事な「極意」は、次のひとことです。

「肩の力をぬこう!」

要するに、解答用紙には、みなさんが、受験期間中に血と汗と涙の結晶で学んだ「基本的なこと」を、そのまま素直に書けばいいだけです。

もう、苦しかったかもしれない受験勉強は終わったのです。
あとは、その結果を書くだけ。

その結果が試験委員に伝われば、合格できます。

では、やってはならない対処法は何か?
それは、「優秀な受験生が受かる」という誤解のもとに解答をすることです。

この考え方をとると、「難しい論点」がわからないというだけのことで、自ら「今年はむりかな」という判断をしてしまいます。
優秀な受験生なら難しい論点に対応できるはずだと考えるからです。
これは、自分の実力の限界を知らないことで、「肩に力がはいった状態」です。

最初に述べたように、司法書士試験は「知らないこと」「試験時間中には解決できない難問」のオンパレードなのです。
もともと、出題されたことの全部に解答することなんて「不可能」じゃないですか。
不可能だし「必要もない」ことです。
もともと受験は、「ちょっと足りないところをどうするか?」という勝負ですから。

しかし、優秀な受験生が受かるという誤解をしていると、「難しい論点がわからない」ために、そのために落ちるのではないかと「動揺」します。
そうすると、「普段なら解答できる簡単な問題を間違える」という致命的な間違いをしてしまいます。

なぜなら、試験委員は、「簡単なこと」を間違えた受験生には「お目こぼし」をしてくれないためです。

さて、今日の結論です。

記述式試験は、司法書士実務の世界で百戦錬磨の、試験委員への「手紙」です。

そこに要求されるのは「オレは偉いんだ」と見せかけようとすることではなく、「この1年、一生懸命勉強しました。最低限の基本はできているかと思いますが、いかがでしょうか?」という謙虚さなのです。













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最終更新日  2011.05.23 21:59:01



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