6月の初旬、まつやまふみおの遺作展に出かけた。
日本漫画家連盟、日本プロレタリア文芸連盟に参加した人で、
風刺漫画や挿絵の作品を遺している。
彼の作品のひとつとして並んでいたのが
「まけうさぎ」という絵本。しかも、作者は斎藤隆介。
斎藤隆介作・まつやまふみお絵
もしかして、あの、カメと競争して負けたウサギのこと?
と思いながら手にとってみると、
案の定あのウサギの後日談。
まけうさぎは、ウサギの仲間の面汚しだと白い目で見られている。
一方、かの今昔物語の説話にでてくる「焼けうさぎ」。
こちらは、老人に身をやつした神様のために火に飛び身を捧げ、
その献身的な行為を認められ今は月の住人に。
今や、ウサギ族のヒーローだ。
まけうさぎは、何とかして汚名挽回をと狙っているいるのだが。。
そのチャンスがやってきた。
人身御供を要求する狼に、立ち向かう決意をしたのだ。
その勇気ある行動をもって、
再び仲間に迎え入れてもらうことができましたとさ。
カメに負けたという汚名を着せられ、
その上仲間に外れにされたまけうさぎのこころの痛みに共感。
そして、
そこに思いを寄せた斎藤隆介の人権意識の高さに、
改めて彼の作品に流れる温かさの源を見た思いがした。
後半は、そのいじめから脱却する勇気が描かれているのだが、
なぜかその辺りの印象は薄い。なぜだろう?
取ってつけた感じがしたのかもしれない。
いずれにせよ、
「うさぎとかめ」や「アリとキリギリス」の道徳的匂いに
違和感を感じているやまんばの心を
グイと掴んだ絵本でありました。(^J^)
ミソハギ