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カテゴリ:小説
第二話 一つの定め
天界 朱雀「偵察がやられたみたいだよ・・・・・・ククク、これだから人間狩りは面白いんだよ・・・・。」 暗がりの場所で赤い炎がゆらゆらとやってきて、あざ笑ったようだった。 青龍「ふん!!ただの人間を殺して何が面白い。バスターを殺すほうがよほどスリルがあっておもしろいだろうに・・・。弱いものいじめはするなと言われてるだろう?」 今度は違う方向から青い炎が来て皮肉をいたかのように笑い。 白虎「どの道バスターも弱い人間も消さねばならぬのだ。どちらでもよかろう。 また違う白い炎が仲裁をした。 玄武「そうさ、全部殺すんだ。我が神獣によってな・・・・。」 緑の炎が何か目論みを持っているような口調だった。 フォーテ「ふん・・・・・・ならさっさと片付ければ良かだろう。こうしてる間が一番無駄ではないか。」 黄色い炎は上からふっと現れた。 青龍「ふはははは・・・・・言ってくれる。まず我々が手を下さぬとも雑魚どもが片付けてくれるだろう。」 青い炎は自信に満ちた声で言い放った。 玄武「ようするに、ありったけも雑魚を放てばいいんだろう?今回は俺に任せておけ。俺様の狐でメッタメタにしてやろう・・・・・・・クククククク・・・・・。」 緑の炎の声は少しずつ小さくなっていき、炎も次第に薄れていった。 朱雀「やつにできると思うか?」 赤い炎は揺らめきながら問いかけた。 白虎「さあな・・・・できなければそれまでもやつだ。そのときはわれわれも動かねばならぬときだろうな・・・・。」 白い炎は暗闇の中で寂しげに揺らめいた。 そして全ての炎は少しずつ消えていった。 昇「ああ、重いこれ・・・・。」 俺は神獣の大きさの割りに重い重量に悩ませられていた。 およそ1mほどの神獣を安部と一緒に対策本部に輸送していた。 夕日はほとんど山に隠れて、残光がうっすらと空を赤く染めていた。それは中々和むもので夏を感じさせるものだった。 安部「もう少しで本部に着くよ。」 さりげなく振り返った男性はなぜか笑顔だ。 昇「なんで笑ってるんですか?」 安部「だって君が入ってくれてうれしいんだよ。これで戦線もかなり有利になるんだよ。」 昇「は、はあ・・・・。」 オレは今から考えてこの先尋常じゃない恐怖がかなりあるなどろうと思った。 町らしい町がなくなり、目に見える風景はすっかり山道になっていた。日は完全に落ちてうっすらと月明かりが木々の間からこぼれていた。 安部「ついた。我が対神獣対策本部がある場所だ。」 そこにはぼろぼろのロッジがあった。ところどころ荒んでおり、今にも崩れそうな感じがする。 昇「え・・・・・・・ここ・・・・・このおんぼろロッジですか?」 オレは違うといってほしかった。 安部「うんそうだよ。ここさ。」 何の迷いもなく即答した。そして男性は顔に満面な笑み浮かべてロッジ内に先導した。 ほんとにこんなところで人間を守れるのだろうか・・・・・と昇は疑問を持ち始めた。 そんな疑問を持ちながらかつ不安を胸に押さえ込んで男性にあとを付いていくのだった。 ギィィィ・・・・・・ 木が軋むときに発する不安な心をさらに不安にする音がした。 いかにもあれが出そうな音だ。 ベリ・・・・・ゴトン・・・ 男性はいきなり床の木をはがし始めた。 昇「えっと・・・・何やってるんですか?」 安部「何やってるって本部への道をあけてるだけだよ。」 昇「あ・・・・そういうことだったんですか・・カモフラージュってやつですか。」 安部「そういうこと。」 ガチン・・・ 底板が完全に外れて階段が見えるそしてその奥にはうっすらと光が見えた。そこは物音が聞こえず、人が本当にいるのかどうかさえわからなかった。 昇「本当にあそこに人いるんですか?」 安部「百聞は一見にしかず」 男性はなぜこのようなことを言ったのかは謎だ。多分見たほうが早いという意味を指しているのだと昇は理解した。 カツンカツン・・・ 階段は妙に高い音を出した。まるで高い電子音だ。昇はこの階段の素材が少し気になったが、今はそんなことを確認しているときではない。目の前のものを優先すべきだ。 明かりはどんどん近くなっていく。それにつれて明かりの映し出す影も濃くなっていく。 人影がある。髪が長い女性の影だろう。身長はかなり高いと見た。 そして先に階段を下りた男性はこちらを見ながら明かりに照らされながら微笑んでいる。 その一瞬の微笑みが昇を緊張させた。 安部「皆さん、紹介します。新たにバスターの仲間入りをすることになった、若本昇君です。」 男性は光に触れていない昇を手招きをして光に浴びさせた。 その部屋は昇の部屋の殺風景な景色とは逆で、まさに研究室のような設備が施されていた。右奥と左奥にはドアがひとつずつあった。そしてそこには数十人の人がいた。薬の調合みたいなことをやってる人。顕微鏡をのぞいてる人。部屋の隅で武器のようなものを鍛冶してる人。とにかくいろんな人がいた。 昇「え・・・・っと・・・・・あの・・・・・・・・・・よ、よろしくお願いします。」 たいした数ではないが全員がこちらを見ていた。このなんとも言えない重たい空気に昇はその場からいなくなりたくなった。しかし、数秒たって、気にせず、皆仕事に戻ったようだ。 陽香「若本君、こちらに来てください。」 オレは声のする横を向いた。同時に安部も横を向いた。 そこには女性、いや、少女がたっていた。多分年齢は同じくらいか下くらいだろう。 しかしなんて綺麗な人なのだろう。鼻は小さめでくりっとした大きな目。セミロングで艶やかな髪。昇は容姿端麗とはこのことをいうのだと確信した。だが身長は小さめで、童顔。族にいうロリータなのではと少々思った。 昇「・・・・・・あ、はい。」 数秒彼女に見とれた。そしてわれに返って返事をした。なんだか気恥ずかしくなった。 少女は部屋の奥まで行き、立ち止まった。 陽香「言っとくけど私はこれでも19歳ですから。」 彼女は頬を膨らませて怒るように言った。何か心を読まれた気がした。 昇は心の中で激震した。顔や声には出さなかったが、何か詐欺にあったような感覚だ。吃驚?そんなものじゃない。身長は大目に見積もっても155センチ。これが19歳だというのか?疑問だ。 陽香「人は見かけによりませんから。」 昇「・・・・わかりました。けど・・・・・本当に・・」 陽香「19歳です!!!!!」 彼女はその小さな体で必死にアピールしていた。しかしながらその必死さが男心をくすぐる。 昇は出会ってすぐだがこの女性はいじられキャラだと直感した。 陽香「もういいです、とりあえずこの部屋に入ってください。」 彼女はもう投げやりだ。頬を膨らませ、まるで中学生のような表情はまた見ていてにんまりと笑いたくなるくらい良い顔をしていた。 昇「はい。」 オレは少し嘲笑しながら言った。 ガチャ 右奥にあるドアを開けた。その部屋は確実に偉い人がいるような気配のする部屋だった。 整った本棚。それも何か科学的なものが多い。そしてデスクはノートパソコンに万年筆と、それなりに整理整頓されたその部屋は居心地がいいというか心が落ち着くような感じがした。 ガチャ 再びドアが開いた。昇は部屋を観察していたが、振り返ってみた。 安部とは違う男性が部屋に入ってきた。そしてさっきの少女・・・いや、女性も一緒に入ってきた。 なにやら大切な話をするような雰囲気だ。昇はそう思うとだんだん緊張してきた。 大阪「こんにちわ、昇君。私は大阪遼といいます。よろしく。」 そう言って握手を求めてきた男性に、おどおどしながら昇は握手をした。男性は黒いタキシードに白のワイシャツ。一般的に言う紳士的な風貌というべきだろう。 陽香「私の名前は大阪陽香。19歳の大学一年生です。決して高校生ではないので勘違いしないでくださいね。」 女性は明らかに身長、容姿にコンプレックスを持っているようだ。言葉遣いは正しいものの、「中学生とか言うな!!」と言わんばかりの口調だった。それに「19歳の大学一年生」をかなり強調していた。 昇「よろしくお願いします。」 昇は頭を深く下げた。 大阪「さて、早速だが君にはやってもらいたいことがある。」 男性はそういってポケットからリモコンを開いた。リモコンを本棚に向けてボタンを押した。すると本棚がゴゴゴと機械音がなって開いた。 この光景はテレビ、いや、映画や小説、アニメの中でしかお目にかかれないものだ。 昇は何かわくわくしたような、不安になったような、複雑な気分だった。 大阪「さあ、行きましょう。」 昇「はい・・。」 陽香「・・・・・・・・(あ~、この子緊張してるな~・・・かわいい~。ふふふふ)」 陽香は口には出さずに心の中で笑った。 そこにはたてにも横にも広い空間の実験室があった。 かなり頑丈そうな壁。それが高さがわからない。多分100mくらいだとろう。横も同じくらいだ。 大阪「さて、早速だが小手調べとして陽香と戦ってもらう。」 昇「はい?・・・・・・えっ・・・・・・ぼくが?」 大阪「そう。」 昇「彼女と?」 大阪「そう。」 陽香「女だからって甘く見ないで頂戴ね。」 彼女はにこやかな表情で言った。 昇「ちょ、ちょっとまった!!戦いって・・・ど、どう戦えばいいんだよ!!」 昇は何か武器を出そうとしてるようかを止めようとした。 ようするに時間を稼ごうとしたのだ。 大阪「ん~、しょうがない。これを使って。」 大阪は胸ポケットから銃を出した。それを昇に手渡した。 昇「え・・・・・これでなにをしろと・・・?」 昇は銃を両手で大事そうに持ちながら言った。 大阪「その銃に弾は入っていない。しかし、君の想いが弾になってくれるだろう。」 大阪はそう言ってガラス窓のある部屋に入ってこちらを見ていた。昇はまるで隔離されたような気分になった。 陽香「さて、始めましょうか。手加減しないわよ。」 ブワ・・・ 音をたてて風が過ぎ去った。確実になにかが来ると直感した。 とりあえず昇は走り出した。何かが来るのを逃れようと必死で走った。 昇「ていうか・・・・想いを弾にどうやって替えるんだよ・・・・」 昇は逃げながらぼやいた。 ゲームや漫画でよくあるようなことをすればいいのか? とりあえずこの場を耐えしのぎ、勝つことが先決だ。 どの道やらねばならんだろう・・・・ 昇は陽香に銃口を向けた。 パン 乾いた高い音が空間内に鳴り響いた。青い光弾が飛び出した。しかし、数mほど飛びすぐ消えた。 内心びっくりした。まさか本当に想いが弾になるとは思わなかったからだ。思わず銃に見とれていた。 ドカーン 強い衝撃が自分の体の後ろを貫いた。 「何が起こったんだろう?」と思った瞬間にはもう中に浮いており、次の瞬間には地面に叩きつけられていた。 昇「いってぇぇぇ!!!!?」 昇は後ろから吹き飛ばされたのでうつぶせに倒れた。そしてわれに返って叫んだ。 どうやらひざを軽く擦り剥いており、血もでそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 30, 2007 09:21:23 PM
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