|
カテゴリ:小説
陽香「いったでしょ。容赦しないって。」 昇「いやいや、力の差がありすぎるって!!倒せるわけないって!!!!」 大阪「誰が倒せといった?今は君の技量を見てるだけさ。倒せとはいっていない。しかし、ここで君は抵抗をしなかったら大怪我をすることはまちがいない。」 スピーカーから大阪の声が聞こえた。その声は感情がこもってるようでこもっていなかった。 昇「そ、そんな・・・・・」 昇は思わず走るのをやめた。そしてハッと思った瞬間前方から衝撃が飛んできた。 昇「うぁぁぁぁぁ!!!」 3mくらい後方に飛んだ。 陽香「すきあり。」 女性はそう言って銃口を60mほどはなれた昇に向けた。 昇「くそう・・・・・・せっかくここまできたんだ・・・・・みんなのために、自分のためにここまで来たんだ・・・・・・諦めてたまるか・・・・・・・・戦えばいいんだろ!戦えば!!!」 昇は諦めない事を心に誓った。体は限界が近づいていた。思うように動かない。 うつぶせの体を少し起こして手を陽香のほうに向けた。 そして、銃を陽香に決意の銃口を向け、乱射した。 昇「うあああああああああ!!!!!!」 パンパンパン 銃口の周りを円状の波動が数個見えた。3つの青い弾丸はものすごいスピードで陽香に向かっていった。煙を空気を貫きながら弾丸はどんどん陽香に近づいていった。 陽香「まさか・・・・・S・Cブラスト!!?くそ!!」 ドーン ああ、いつかTVかなんかで戦争のことを特集していたことがあった。そのときに本物のナパーム弾の爆発をみたことがある。それにそっくりだ。 そして恐ろしい量の煙があたりを立ち込めた。 陽香「いたたた、やってくれるね君・・・・・。」 煙の端から女性がが出てきた。すごく嫌そうな顔でくしゃくしゃになった髪を手でとかしてる。宙に 舞った埃はどんどん落ちてくる。 昇はなんだか罪悪感に浸ってしまった。 女性の身だしなみの大切に思う気持ちはわからない。しかしそれはいかに女性にとって大事なものなのかは重々理解しているつもりだ。あとで誤ろう。 今はそう考えるのであった。 大阪「うん、終了。ここまでね。」 男性はガラスの向こう側からスピーカーを使って言った。 昇は重い体の力を抜いた。深いため息をつき、もう何もかもが終わったかのような気分だった。 そう思った瞬間だった。目の前が真っ白になった。 陽香「それじゃあこれから会議をはじめます。まずは・・・」 ん?・・・・・・・女性の声がする・・・・陽香さんか・・・・・・まて、オレは今どこにいるんだ? 体は力を入れても動かない。しばらく動こうと試みたが無理だ。 そうだ、目を開ければいい。 ゆっくりを目を開けた。焦点が合わないらしくあたりがぼやけている。やっと焦点があったと思うと、俺は天井を見ていた。家の天井とは違い床のように滑らかだ。触ってみたいが手とどないどころか動かない。 あ、首はなんとかうごくらしい。 右に左に顔を動かす。どうやらソファの上にいるらしい。右には人がいる。テーブルを囲んでいる何人かの人だ。人の中に少し小さめの背中が見える。陽香さんだ。 とりあえず、体が動くまでしばらくじっとしてるか・・・・・・いや、動けないからじっとしてるしかないのか・・・。 けっこうな時間が経っただろう。多分5時間くらいは寝た感じがする。 ・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? おもむろ目を開けたら天井が見えた。その天井は見慣れた天井だった。シミや模様といったもののすべてが見覚えのあるものだ。 いつ家に戻ってきたんだろうか・・・・。 すべてが夢だったのだろうか・・・・・。そうであってほしいかもしれない。いや、むしろそうであってほしい。昇はベットの上の自分の体を起こして部屋を出た。体は重くもなければ痛くもない。むしろ軽いくらいだ。 廊下から居間にかけてひどく緊張した。居間に誰かがいるからだ・・・・・・・・・・ 誰だ?親なのか? 今の扉を開けた。 居間にいたのは安部さんだった。 安部「やあ、君を送りとどけてくれって頼まれた。だからってのも変だけど、ちょっとくつろがせてもらったから。明日またあそこに来てくれな。力を君にあげるよ。そうだ、言っておくけど公太君はどうやら人間の手によって殺害されたらしい。詳しくは明日教えてあげるよ。じゃあ。」 そういって男性はいそいそと玄関のほうに向かい我が家をあとにした。 その数秒後、昇の目から涙が一筋流れた。 昇「う・・・・・公太ぁ・・・・・・・。」 涙は頬伝い、ポトポトと滴る。 夢であってほしかった、今日あったことすべて。 現実とはどれだけ残酷なものか、現実はどれだけ希望に満ち溢れたものなのか、現実とはどれだけ思い通りにいかないことか、涙をもって、今日一日を通して酷く痛感した一日であった。 朝日が部屋の中のものを照らし出していく。美しく、色鮮やかに。 静寂な光の中で昇はただただ泣き続けているのであった。 END お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 30, 2007 09:23:11 PM
コメント(0) | コメントを書く
[小説] カテゴリの最新記事
|
|