温水洗浄便座にまつわる形而上学的考察
人気ブログを書くための秘訣は何か? といった、ある雑誌のノウハウコーナーに、確か真鍋かをりだったと思うのだが、「自分を晒け出すこと」と答えていた。 まあ、人気ブログを目指している訳ではなく、「読みたい人は勝手に読めば」的なスタンスで淡々と書き綴っていこうと思っているが、他人の目を気にしすぎてこの場で格好をつけたことばっかり書いていても、きっと行き詰まるだろうし、内容が固くなってしまって、そのうち自分の書きたいことがかけない雰囲気を作ってしまうようになってしまうと思う。 というわけで、徐々に自分のアホさ加減をカミングアウトしていこうと思う。 なお、今回のコンテンツは、食事中の方には不適切な表現が含まれる可能性があるので、一応お知らせまで。まあ、グロ画像とかは出てこないので、ご安心を。 まずは前振り。今日は「ショッピング」カテゴリーでお送りしようと思う。1月22日のエントリーで、大阪に電車で出掛けたと書いたが、そのついでに買ってきたのが、こちら。 [MOと MO Reader / Writer] 私には理解に苦しむのだが、未だにデザイン系の会社では、記憶媒体にMOを使っている。光磁気ディスクである。Magneto Optical Disk である(何の略か知らなかったので今調べた)。ピンと来ない方のために、上画像の左側がMOディスクである。 改めて、私は声を大にして言いたい。 今更、MOでデータ送ってくんな、と。 多くのデザイン会社から見れば、私の会社はクライアントに当たる。その力関係を振りかざすつもりはないし、こっちはウィンドウズを使っているから、マック形式(よく見かけるのはSIT圧縮ファイル)で送ってくるな、と言うつもりはない。仕事の効率を落としてまで、クライアント側の環境に準じて仕事をして欲しくはない。そうしたエフォートがあるなら、デザインクオリティーの向上に注いで欲しい。 ただ、データの授受については、CD-Rで焼くとかなんとかできんのかい、と思うのである。 しかしながら、あまりにMOで送ってくるベンダーが多いので、仕方なくMOリーダーを買ってきたのである。ただ、これをヤマダ電機で買ったのは失敗だった。 何故かといえば、ご覧の通り、袋が透明である。いつもの感覚で、車で来店しているような錯覚をしていたのだが、いざ店を出て気が付いたのである… これ持って、ワシゃ電車に乗るんかい、と。 こっぱずかしかったのである。周りの目線が。「うわ、あの人今頃MOなんか買ってはるで」と訝しまれてはいないかと、血圧上がりまくりだったのである。 しかし、これでMOでのデータ授受には対応できる。15,800円と、ちょっと高いと思ったが、そこら辺は会社に請求するので、まあ大丈夫。 本格的にやめて欲しいのは、1GB MOでの送付である。そうすると、値段が19,800円になってしまい、さすがに会社に請求するリスクは取れなかった。ほんまに迷惑なんで、ご勘弁を。 以上、前フリ終了。 同じ電機製品の買い物でも、こちらの方はプライベートである。無事、この週末に設置工事を終え、早速バリバリに活躍してもらっている。 まあ、タイトルにも書いてあるので、じらしても仕方がないだろう。買ってきたのはこれである。 [現在ご機嫌に稼働中] 購入を決意した理由を詳細に話すと長くなるのだが、思い切って枝葉を切り取って端的に書くと、昨年の年末に自宅の大掃除をを通じて、以下の結論に至ったためである: 1. 抜本的な家の掃除はトイレから始まる。トイレが終わらないと、次に進めない 2. トイレの抜本的な改革は温水便座の導入が欠かせない というわけである。何のこっちゃわからんかもしれないが、まあ世の中そんなもんである。 世間知らずの私は、温水便座を導入するには、便器そのものを全て交換しないといけないと思っていた。今は賃貸アパートで暮らしているので、そういった訳で、この文明の利器を自宅に導入しようとは、つい最近まで全く考えていなかった。 30過ぎての無知が恥ずかしい。 が、ある日、ホームセンターで洗面所・お風呂リニューアルコーナーに立ち寄った際、温水便座は、現行の便器にアドオンで設置でき、その気になれば工事も自分でできる、という案内を目にしたのである。私的には青天の霹靂であった。 ご存じない若干名の皆様のために補足する。大抵、トイレスペースにはコンセントが設置されていると思う(恥ずかしながら、今までこの家に7年近く住んでいて、コンセントがあるなんて全然気付いていなかった)。そして、温水便座へは給水タンクに水を送り込むパイプを分岐させ(写真右参照)、温水便座内で給水ポンプと別に水を補充できるわけである。 このため、この部分さえ取り付けを行ってやれば、普通のトイレから温水洗浄便座に変貌を遂げるのである。 この開発秘話を昔プロジェクトXで見たような気がするのだが、技術的な部分と全然別のところで感動してしまって、その機構を全く憶えていなかった。 私がプロジェクトXで感動したくだりは、以下のようなものである。 TOTOがウォシュレット(厳密には「ウォシュレット」はTOTOの登録商標)を発売した当初、戸川純を起用したCMの中で、「おしりだって洗ってほしい」のキャッチコピーを使った宣伝を行った。 これがゴールデンタイムで放映されるや否や、TOTOには抗議の電話が殺到した。 やれ食事中に不謹慎だとか、CMで「おしり」なんて、という「良識派」からの抗議であった。 これに、広報担当部長が率先して当たったのである。「皆様はお食事を楽しんでいらっしゃいます。それと同じくらい、排泄も尊い行為です。暮らしを豊かにする商品です。誇りを持って作っています」 それに倣って部下も対応を始め、一カ月後には、クレームがゼロになった、という逸話である。便座は決して日陰の商品ではありません - これこそがプロとしての矜持である。 …ここに感動して、温水を安定して供給するシステムの開発の苦労が、すっかり私の記憶から抜け落ちていたわけであるが(苦笑)。 今では便座には様々な機能が付いていて、暖房便座機能、乾燥、消臭・脱臭・芳香、フタの自動開閉に便器洗浄…と、まさに世界に誇る技術大国・日本が、そして日本人ならではのきめ細かさが反映された素晴らしい商品である(事実、今の日本家庭の半分以上に温水便座が設置されているらしい)。 私が依頼した工事も、わずか20分で終了した。 どうやって工事のおっちゃんが温水が出るのを確認するのかと、興味津々であったが(まさか、本当に「する」わけではないだろうと思っていたが…)、実際は便器に若干圧力をかけることで着座センサーを"ON"にし、出水確認をするのだそうだ。ちょっとしたトリビアである。 なお、今気が付いたのだが、私が買ったのは、種々の高機能(自動節電モード等)を有さない、そこそこの廉価版だったせいか、プロジェクトXで感動したTOTOの製品ではなく、松下電器産業の「ビューティ・トワレ」であった…TOTOの皆さん、すんまそん。